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8/28(月)キャプテンの一言

▼マリアナ海溝8178メートルの超深海で泳ぐ
シンカイクサウオの仲間「マリアナスネイル
フィッシュ」には特殊な能力が備わっていた。
昨夜のNHKスペシャル、ディープ・オーシャン
シリーズの最終回は水深6000メートルを
超える超深海がテーマ。海洋研究開発機構と
NHKが共同で進めた壮大なマリアナ海溝の
チャレンジャー海淵のフルデプス=最深部に
挑んだもの。海洋研究開発機構の深海調査
研究船「かいれい」で世界の底1万メートルの
世界を4Kカメラで撮影するもので、もちろん
生物を見つけること、特にサカナの撮影が最大
な目標だった。その結果、先週も触れたように
水深8178メートル地点で全長20センチほどの
前記「マリアナスネイルフィッシュ」の撮影に成功
した。これは世界でもっとも深いところにいる
サカナを撮影した新記録となった。サバのエサ
をつけた船体にカイコウオオソコエビが群がる
様はとても8000メートルを超える世界とは
思えない。そこソココエビより大型のヨコエビの
仲間がソコエビを捕食するために集まってくる。
そして最後に撮影開始から18時間後、ついに
お目当てのサカナ「マリアナスネイルフィッシュ」
が1匹主役とばかりに登場した。この時の撮影
ではない別の場面(8100メートル地点)では
スネイルフィッシュがヨコエビを食べるところが
ハッキリと映っていた。つまり8000メートル級
の深海でも食物連鎖が確立されており、今回
の調査段階ではあるが、スネイルフィッシュが
頂点にいることが分かった。

▼80気圧という猛烈な水圧にどう対応している
のだろうか。理論的にはサカナの生存限界は
水深8200メートルといわれている。今回の調査
でも1万メートル地点ではナマコの仲間やヨコエビ
は確認されたが、残念ながらサカナを見つける
ことはできなかった。それでも8000メートル級の
海底で生きる工夫は必要だろう。サカナの細胞
にはTMAOという有機物が存在し、浸透圧調整
機能があるとされている。このTMAOが多いほど
深い場所で生存が可能ということになる。
今回の調査ではスネイルフィッシュの採取に
成功しており、いろいろな特徴が分かってきた。
全身白い色で覆われた体は粘膜に包み込まれ、
鱗はないように見えた。また、歯は100本以上
もあり、獲物の少ない深海で1度口にしたもの
を逃さない工夫とか、2段構えになったアゴも
同じ理由と思える。またTMAOがほかの水深
に棲むサカナより多いことが判明し、超深海
での適正を示していた。今度は限界といわれる
8200メートルより深い場所でサカナが見つかる
かどうかだろう。

▼海底には熱水噴出孔という場所があり活発
な火山活動が今も続けられている。数百度にも
なる熱水は硫化水素や重金属が噴出している。
木星の第2衛星エウロパにもあると予測されて
いる。こんな過酷な環境にも生き物が住んで
いる。シロウリガイやエビ、カニ、さらにゴカイ
の仲間のチューブワームなどが群れをなして
暮らしている。当然、酸素はないので硫化水素
で生活している。46億年前の地球には酸素が
ほとんどなかった。そんな中で生命が誕生した
わけだから不思議ではないのだが、現代の
われわれからすればとんでもない世界という
ことになる。今回の調査でも食物連鎖の弱者
であるソコエビは水素やメタンをエサにする
微生物を捕食して暮らしているという。確かに
活発に動き回るためには、ある意味”劇薬”の
酸素が必要になるが、生命にとっての絶対的
なものとは違うのではないか。いろいろなもの
を利用した生き物は地球にもいるのだから
地球外にいても不思議ではないと思う。

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