「リコーダー」って、ほとんどの方が子どもの頃に触れたことのある楽器ですよね。
日本ではプラスチックリコーダーが、教育楽器として普及しています。
これって世界ではすごく珍しいことで、あるヨーロッパの演奏家が「これは、ヨーロッパの小学校でみんなが尺八を吹いているようなもんだ!」と表現したほど^^;
日本で唯一の木製リコーダー製作所が、大阪市住之江区にあるのをご存じでしょうか?
「竹山木管楽器製作所」という、南海住之江駅から歩いて7~8分のところ、安立(あんりゅう)商店街の中にあるんです。
先日訪れて、製作者の竹山宏之さん(59歳)にお話をうかがってきました。
木製リコーダーは、竹山さんのお父さんが50年前に作り始めたそう。
日本では、プラスチックリコーダーが普及していましたが、本来は木製。
でも木製を作っている会社が日本になかったんです。
ある日、東京の会社から、お父さんの工場に打診がありました。
その工場とは、住之江区のお隣・堺の地場産業、紡績の糸を巻く軸(ボビン)の工場だったんです。
依頼者は、ボビンの形とリコーダーの形が似ていることに目を付けて、なんとかこの技術が応用できないかと相談しに来たんですね。
楽器を作ったこともなかったので、最初は大変だったそうですが、声かけから2年後に初めての木製リコーダーが完成したそうです。
「誰もが音を出せるというのは、作るのが難しい、メンテナンスも難しいということ」竹山さんの言葉で印象に残ったものです。
木製リコーダーの作業工程はなんと60以上!
木を乾かすのに2年以上かかり、円柱状に削って、指の穴を開けて(それも絶妙なミリ以下の調整)、吹き口を形成するのにも時間がかかります。
1本完成させるのに5年、10年かかるものもあります。
その分価格もプラスチックより高くなり、安いもので1万~高いもので40万くらいだそうです。
まさに「芸術作品」とも言えるリコーダーなんです。
もう一つ気になることは、木製とプラスチックの音の違い。
実はそんなに大差ないんです。
ただ、木製の棒とプラスチックの棒をたたいた時の違いを考えると分かると思いますが、プラスチックの方がよりシャープな音で木製の方がより深みがある音だと感じました。
私も吹いてみた感じ‥音を出すのがとても難しかったです!!
でも、木のいい香りがして、落ち着いた気持ちになります。
海外での評価も高く、様々なミュージシャンが興味を持つ竹山ブランド。
「大阪のものづくり」の貴重な文化の一つです。
竹山さんの作る木製リコーダーに興味を持った方、住之江区・安立商店街のお店に是非行って見てください。
また、11月22日(金)~24日(日)には、お店と阪南キリスト教会で「アジアンリコーダーフェスティバル」が開催されます☆
日本・韓国・台湾・香港4カ国のリコーダー奏者が共演するという初めての試みなので、こちらも是非。