グリーンジャケット 85年目の悲願

 パトロンと呼ばれる観客は新型コロナウイルス対策のため入場を制限されたが、米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGCに歓声が帰ってきた…男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで松山英樹(29)が優勝した(11日)。4大大会を日本の男子選手が制するのは史上初、アジア選手としても初。日本勢が初めてマスターズの舞台を踏んだのは1936年(第3回大会)だから85年目の悲願…日本人のグリーンジャケット姿だ。
 米ホワイトハウスで行われた日米首脳共同会見でも、バイデン大統領から菅義偉首相へ祝福の言葉が出るほどの快挙だった。

◆松山は記者会見で「(開幕前日の練習が終わってから)『いけるんじゃないか』と思えた。それが何か僕自身は分かっていないが、そういう気持ちになったのが大きかった」。
 日本の男子ゴルフ界を牽引してきた中嶋常幸プロ(66)はテレビ解説で思わず涙、いや号泣に近かった。

 もう一つ感動の話があった。早藤将太キャディー(27)が18番カップのピンを戻した後、帽子を取ってコースに一礼したシーン。米スポーツ専門局「ESPN」の動画に、「日本人はとても威厳があり、敬意を表する人々だ」「名誉と尊厳は日本文化に根付いている」と称賛のコメントが相次いだ。

◆ゴルフ最高峰の4大大会。ちなみに優勝賞金はマスターズが最も低い(それでも2億円以上)が、やはり世界のゴルファーが最も憧れるのもマスターズの優勝、グリーンジャケットだ。優勝者には生涯出場権も与えられる…これもまたジェントルマンスポーツ、粋な制度だ。

 大会を主催したオーガスタ・ナショナルGCは、地域の当局とパートナーシップを締結、ワクチン接種の会場や土地を提供し支援してきた。そんな取り組みが地域住民の理解を得ることにもつながっている…大いに参考にしたい。

 新型コロナウイルス禍1年以上、新しい生活や新たな時代と言われる。国内ではプロ野球やJリーグ、ラグビー、水泳など試行錯誤を重ねながらシーズンが進められている。
 あと100日を切った東京五輪開催。経済を超えた人類の英知で、観客数にかかわらず…松山快挙のような感動を、数々の五輪競技でも。

新たな五輪 世界へ
<2021.4.19   S>