菅内閣 この国の行方

 「(秋田の農家に生まれ、働きながら法政大学卒業、流行の二世議員でもなくコネも金もない)…こんな私でも総理大臣を目指せる」と出馬表明、一瞬にして決まった菅義偉自民党総裁(71)。一瞬を積み重ねた30年の結果と、強運とも言えるだろう。
 総裁選では執行部の二階幹事長-安倍前総裁の敷いたレールに乗り、派閥と数の論理で岸田文雄(政調会長)、石破茂(元幹事長)の両氏に大勝、菅内閣がスタートした(16日)。

◆柔らかく聞こえるが厳しくもある「自助・共助・公助」を基本路線に、発足した”国民のために働く”内閣。
 総理以外の国務相ポストは「万博」の一つが増え20、初入閣5・再任8・女性2…平均年齢60.38歳。全く新鮮味はないが、手堅く実務を進めていき、発言も含めいわゆる”失策”は少ない布陣と言える。だが結局派閥に配慮し、次をにらむ石破派は”排除”された。民主主義は多数決とはいえ…「有事の内閣」だということは忘れないでもらいたい。

◆あえて菅内閣の「目玉」の私見を言えば3K。
 加藤勝信官房長官(64)=官房長官は首相の女房役と言われる。この2人がかみ合わなければ内閣は、内から瓦解する。加藤氏は、かつて菅官房長官の下で副長官を務め気心も知れている。また”地味な首相”をハキハキとした発信で補う?
 河野太郎行革相(57)=菅内閣の軸に据えた「規制改革」の中心になる行政改革大臣。河野氏は、外相、防衛相と安倍路線に沿いブレない発信力を続けてきた。就任会見でも、全閣僚が深夜から未明にかけて首相官邸で順番に会見する慣例を批判、「前例主義の最たるものだ」「さっさとやめたらいい」…頼もしい一方で、融通きかず軋轢が気がかりでもある。
 小泉進次郎環境相(39)=”継続安倍内閣”と揶揄され、手堅いが国民へのアピール力に欠ける中、若さの象徴としての存在。そしてもう一つ総選挙の”人気の核”になる。
 平井卓也デジタル改革相(62)、井上信治万博担当相(50)の新ポストも注視したい。

◆各新聞社の菅内閣支持率調査は、60%を軽く超えた。いわゆる御祝儀と苦労人首相への好感。陰には、国民の頼りない野党不信感も大きく反映されていことも忘れてはならない。
 徐々に動き出した社会活動。ただ、なお一変してもおかしくない国内外。コロナ禍の状況、対応が支持率のカギを握ると言える。
 
 菅自民党総裁の任期は来年9月末。支持率を背に、野党の弱さに乗じ年内解散か。予算を成立させ、コロナ禍が収束の兆候が見え始めたなら年明け解散か。東京五輪前または成功後の解散か…微妙な判断を迫られる。数の論理が民主主義と言えど「大義」は…まして国を託す解散総選挙なのだから。

 ちょっと気になるデータもある。佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎の長期政権の後は、短命内閣が続いた歴史。安倍晋三政権の後はさて…短命政権か長期政権か。どうなるかは、信を問う総選挙の結果である事に変わりない。
 
◆コロナ禍の社会・経済活動、憲法、拉致問題、少子高齢化、地方創生、対米中露北の外交…内外に課題は山積。
 ”国民のために働く内閣”よ!国民は見ている。国家観を掲げ、命がけで頼みますよ。

有事の今 日本の未来
<2020.9.24 S>

*報道コラム「喜怒哀楽」は120回を超えました。変わらずに人、そして出来事を見つめ続けていきたいと思います(原則月曜・不定期)。