withコロナ 球音帰ってきた

 「カーン」「バシッ」…バッターが打つ音、捕手のミットに収まる音。観客のいない球場に球音が鳴り響いた。制限されていた移動が解除された19日、待望のプロ野球が3カ月遅れで開幕した。

◆球場の”景色”は変わった。スタンドのファンの応援は選手の力にもなる、一体感も素晴らしい。しかし、走攻守の耳から入る音は新鮮だった。神宮球場では、放送席から捕手の構えを指摘する声まで聞こえるという”おまけ”もあったが…プレーそのものな集中できること、そして音のおかげでプロスポーツのパワーや技術、凄さを改めて知った。今まで気がつかない発見もあり十分楽しめた。これはこれでいいもんだ!
 
 無観客に加え、120試合、延長10回まで、ハイタッチなし…新型コロナウィルス対策で多くの制限下だが、テレビの前やネットライブの前には歓声とヤジが帰ってきた。やはりワクワクし、日本を元気づけてくれる。

◆さらに12球団代表者会議は、7月10日から観客を入れることを決めた。ファンにとっては大いに楽しみだ。5千人くらいとの指針はあるが、斉藤惇コミッショナーは「各球場がある自治体や保健所の了解が必要であり、収容人数にはばらつきがあるかもしれない」と、地域差が出るとの見方を示した。さらに球場周辺の混雑、密集にも注意が必要だ。
 
◆プロ野球はスポーツビジネスでもある。球団、選手らの収益や年俸にも厳しく響いてくる。経済問題など含め、NPB(日本野球機構)や球団、今こそ出番である。組織としての価値が問われている、しっかりとしたフォローが必要だ。

 そして第2波など状況によっては、再び無観客や中断・中止も心しておかないと…ファンよ潔く。

◆ 日本高校野球連盟は、史上初の中止になった選抜高校野球の出場32校が、「2020年甲子園高校野球交流試合」として甲子園球場で1試合ずつ行うと発表(10日)。
 夏の甲子園大会が中止になった期間の8月10-12日、15-17日の6日間。ベンチ入りメンバーも18人から20人に拡大し、監督やスコアラー、練習補助員5人ら各チーム計30人。近隣高校は日帰り、それ以外の宿泊は最大2泊、関東から西の出場校は公共交通機関を使わず、地元から貸し切りバスで来場するとした。
 幻となった球児たちの「甲子園の夢」をかなえた形だ…ただ夏の全国高校野球選手権が中止となったのに(早すぎた判断の指摘もあるが)、たとえ多くの制限下でも同じ夏に選抜大会の救済試合を行うことの矛盾は否めない。

 一方で大阪府や奈良県、群馬県などは夏の地方大会の代替として独自の形で試合を行うことを決めた。地方の球場に、選手、家族、学校仲間の”お国なまり”の応援が聞けるなら嬉しい…できれば多くの地方に広がってほしい。今こそ高野連や主催者などの全力支援を求めたい。

 ◆今年の日本の夏は違う。伝統を守りつつ新たな楽しみ方、生活も考えたい…スポーツの持つ力を信じて。

いつもと違う夏 前向いて
<2020.6.23 S>

*4月から「ラジオ産経」。変わらず人を出来事を見つめて、報道コラム「喜怒哀楽」を続けていきます(原則月曜・不定期)。よろしくお願いします。S