日本の心 桜よ

 暖冬列島で桜が咲き急ぐ。開花宣言一番乗りは東京(14日)、観測史上最速となった。
 桜は日本人にとっては特別な花だ。新型コロナウィルス感染拡大で、人が集まる会は自粛の時…残念で寂しい。

◆観光国としての側面を持つ日本、インバウンド(訪日外国人旅行)はシートや茣蓙での花見は少ない。日本人は昔から車座になり飲食歓談、そして神が宿る桜木に豊作を願った。人と人のふれあい、風情を愉しむ…新型コロナウィルス禍で、大阪造幣局の通り抜けは早々と中止、東京・新宿御苑もシートなど敷いての花見は禁止となった。
 ならばせめて、地元の近くの桜を改めて眺めてみるのはどうだろう?名所に劣らない良さを再発見できるかもしれない…フラッと楽しんでほしい。

◆桜の名所1位は東京・目黒川だという。そんなバカな⁈ 確かに目黒川沿いを歩く人の数は日本中で最も多い。しかし名所を”人数で決められたら”合点がいかない。美を眺めて、歴史に思いを寄せ、それぞれの時…桜には日本の心がある。

 個人として敢えて挙げるなら、東日本大震災が起きた東京単身赴任時代に観た六義園のしだれ桜、千鳥ケ淵の夜桜。そしてもう一つは故郷・十四川(三重・四日市)の桜だ。高校生の青春時代、母校の傍を流れる川の堤防桜にそれほど印象や思いもなかった。昨年、四十数年ぶりに観た…郷愁の桜、胸に迫るものがあった。

 ほんの七十数年前。国を家族を愛する人を守るため、靖国神社の桜の下で会おうと散った若い命もあった。

◆パッと咲いてパッと散る。
「しばらくは 花の上なる 月夜かな」(松尾芭蕉)
「見ぬものを 見るより嬉し さくら花」(加賀千代女)
「散る桜 残る桜も 散る桜」(良寛禅師)
 こんな時だからこそ、桜を愛でたい。

潔さ儚さ 日本っていい。
<2020.3.16 S>