”2人の涙” いざ!東京五輪 

【ニッポン柔道 ”武士の情”】
 全日本柔道連盟(全柔連)は講道館で強化委員会を開き、2016年リオデジャネイロ五輪金の大野将平(男子73キロ級)や、2019年東京世界選手権優勝の阿部詩(女子52キロ級)ら男女計12選手を東京五輪代表に選出した(2月27日)。国際大会の実績など踏まえ、出席者の3分の2以上が、後続に大きな差をつけていると判断して決まった。
 個人の全14代表のうち残すは4月、男子65キロ級の丸山城志郎ー阿部一二三の争いのみ。

◆全柔連は早期決定をめざし、3段階の選考方式をとった。第1段階は昨年11月、女子78キロ超級の素根輝が最も早く代表を決めている。今回は第2段階となり、残る13人のうち一気に12人の決定となった。
 最終の第3段階(4月・全日本選抜体重別選手権)より早く決めた事に、開催国のお家芸ゆえの事情も見える。「メダルは当然」の厳しさ、そこに向けて選手の調整時間確保、何より精神的負担の軽減がある。

◆ 代表発表会見で井上康生男子代表監督(41)が涙を見せた。代表1人1人の名前を読み上げた後、目を伏せ「いまはギリギリで落ちた選手の顔しか思い浮かばないです。永山、橋本、海老沼…」耐えきれず涙があふれた。さらに落選した選手の名前を挙げ「よくここまで戦ってくれたと思う。彼らの思いも背負った上で、責任を持って戦わないといけない」。力のある選手たちを早くふるいにかけざるを得なかった…敗者への思い「武士の情」か。

◆お家芸柔道日本の節目、2000年シドニー五輪柔道。初日に軽量60kg級・野村忠宏と48kg級・田村亮子が優勝し幸先いいスタートを切った。井上康生は重量100キロ級にかかわらず、まさに「一閃」オール一本で金メダルを獲得した。パワー全盛、しっかり組み手をとらない欧州のポイント柔道に流れそうな時代…鮮やかな「一本」柔道を引き戻した。

◆ 勝負の世界「選ぶ側や監督は、毅然とした態度で臨むべきだ」と、井上監督の涙に賛否ある。自らも「こんな場所で一番やってはならないこと、申し訳ありません」と詫びた。
 選ばれ並んだ代表の顔…この選手たちが力を最大限に発揮できる環境づくり、そこに全力を尽くせ。

 次は、1964年東京五輪と同じ聖地・武道館で歓喜の涙を流す!…柔道ニッポン、必ずやってくれる。

【クールなランナー 1人の戦い】
 日本記録保持者の大迫傑(28)が、東京マラソンで自らの日本記録2時間5分50秒を更新する2時間5分29秒をマークした(3月1日)。日本人トップの4位に入り、東京五輪代表3枠目の最有力候補に。8日のびわ湖毎日マラソンで記録を破られなければ、代表に内定する。
 ”一発勝負”MGCでは2位・服部勇馬と5秒差の3位、五輪の代表内定を逃した。残りの選考レースで日本記録を破られなければ、このまま五輪切符をつかめる可能性はあったが、待つことはせず東京マラソンに参戦した。

◆井上大仁らがスタートから2時間3分台を狙う果敢なレース。冷静に一度”引いて”一時先頭集団の背中は遠くなったが、そこから自信の走りを見せつけた。レース後のインタビューではMGCに触れ、「3番になった時から1人苦しい戦いだったんですけど…」クールな男が涙ぐんだ。「自分の体と対話しながら走れたと思う」「自分への挑戦ということで、ケニアに行ったりしてチャンレンジ出来たので」と、1人で耐えることを学んだ。幅広いレース展開に対応、自力の強さも見せ、日本マラソン界を引っ張る存在であることを証明した。

 一方で世界レベルのマラソンは2~4分台、優勝したレゲセ(エチオピア)2時間4分15秒に歯が立たなかった。しかし日本人ランナーは今大会5分台1人、6分台2人、7分台5人とレベルアップは間違いない…メダルに最も近い日本人ランナー、大迫が躍り出た。

<2020.3.2 S>