諦めない 輝いた2人

【国技 史上最大の下克上】
 大相撲初場所で、西前頭17枚目の徳勝龍(33)が初優勝を飾った。幕尻としての優勝は、2000年春場所の貴闘力以来。
 
 早々と両横綱が休場、情けない初場所の土俵を救った。幕内と十両を行ったり来たり、三賞さえ獲得したことがない33歳、誰が戦前にこの結果を予想しただろう⁈腐らずコツコツ、休場したことがない見習うべき力士の姿だ…優勝を決めた瞬間の土俵上、堪えきれず涙を流す姿や「ばりばりインタビューの練習していました」…誠実な人柄が見えた。

 相撲発祥の地・奈良県は、98年ぶり(1922年・鶴ケ浜)の故郷力士Vに沸いた。「真っ向勝負の立派な相撲だった」と父の青木順次さん(73)、両国国技館に駆けつけた母のえみ子さん(57)も「ハラハラしたけれど、逆転してくれてうれしい。夢みたい」と涙ながらに話した。

 「14日目に正代を破るまで、平幕以下としか対戦していない」という取組編成への”もの言い”もあったが、恵まれた体どっしりとした終盤の強さは目を見張る…3月春場所は上位陣との対決も増える。故郷に近い大阪場所、期待がふくらむ。

【女子マラソン 絆を糧に】
 大阪国際女子マラソンで松田瑞生(24)が、2時間21分47秒で2年ぶり優勝。陸連が設定したタイム(2時間22分22秒)を突破し、東京五輪の残り1枠へ大きく前進した。
 
 ハイペースに「やばい」と思いつつも一歩も引かなかった。”流行”の厚底シューズを履かない158㎝の浪速娘は「松田瑞生、ここにあり」と胸をたたき、拳を突き上げてゴールした。
 増田明美さんは「上半身をしっかり使うことで、脚の疲れを抑えられる」と指摘、ずば抜けた腹筋の強さが生きた。有森裕子さん、野口みずきさんともに「序盤からハイペースが世界基準、アフリカ勢がいても自分のレースを貫けた」…世界で戦えるレベル、五輪へ光も見えた。

 昨年9月のMGC(グランドチャンピオンシップ)で4位、一時は引退も考えたという。「やめるんやったら、とことん潰れたらええねん。日本記録を狙い!」母・明美さん(54)の強気が、背中を心を押したという。苦しく勝負所の37キロ地点「瑞生ー!」母の叫びに、拳を握りしめた。監督や恩師ら周囲にも励まされつかんだ栄冠、ひと回り成長した。故郷の晴れ舞台「大阪を選んでほんまよかった… 泣かないお母さんが泣いていた。本当にうれしい」。

◆徳勝龍「もう33歳でなく、まだ33歳と思って頑張る」。
 松田瑞生「やることはやったから楽しめた、自分を超えられた」。
 敗者の悔しさもかみ締めてきた2人。諦めるな!…そんな声をかけられている気がした。

スポーツの力 自分信じて
<2020.1.28 S>