163㌔佐々木朗希投手の夏

炎天の甲子園で、第101回全国高校野球選手権の熱戦が繰り広げられている。その全力プレーだけでなく、アルプススタンドの応援合戦、お国なまりの声援もまたいい。一方で、地方大会も含めた今年の全国参加校数は16年連続減少し3730校、部員が集まらず連合チームも86チームに上った。

◆春のセンバツと違い、夏は一発勝負。負けたら終わりの地方大会を勝ち抜いたチームだけが、甲子園の土を踏める。
その地方大会・岩手大会決勝戦が波紋を呼んだ。花巻東ー大船渡。
花巻東はエンゼルスの二刀流・大谷翔平やマリナーズ・菊池雄星を輩出した強豪校、大船渡は日本最速163キロの佐々木朗希投手を擁する。ところが、甲子園をかけたこの決勝戦で佐々木投手は登板せず、大船渡は2ー12で大敗した。

試合後、国保陽平監督(32)は「投げられる状態ではあったかもしれませんが、私が判断しました。故障を防ぐため」「球数や登板間隔、暑さ気温です」。国保監督の選手の将来を考えた一貫した起用法は勇気ある決断、時代にも合致…甲子園がすべてではない、将来こそ。だがチームとして、決勝戦で佐々木投手が投げられるローテーションはなかったのか⁈

高校ビッグ4、大船渡(岩手)の佐々木朗希投手、星稜(石川)の奥川恭伸投手、創志学園(岡山)の西純矢投手、横浜(神奈川)の及川雅貴投手…甲子園で見られたのは、158キロ星稜・奥川投手だけ。他の3人のピッチングも、やはり甲子園で見たかった。

◆プロ野球3085安打の記録を持つ張本勲氏は「残念、投げさせるべきなんです。監督と佐々木君だけのチームじゃない…」。これに対して、カブスのダルビッシュ有は「(張本氏の発言を)迷いなく、消してほしい」とツイートした。
後に鈴木大地・スポーツ庁長官が日程など含め「高校野球は変わらなければいけない」と求めたことに、「素晴らしい」「健康を維持し輝く選手が増えること。暑い中長時間の練習、何百球も投げさせるのは教育ではありません」。

◆かつて「神様、仏様、稲尾様」や「権藤、権藤、雨、権藤」と言われ、連投に次ぐ連投でシーズン35勝も上げた時代があった。時代だけでは片づけられない、そこにはいくつもの感動ドラマが生まれた。
現役選手としては”短命”に終わった権藤博氏は、後に監督となった時の采配は継投が多かった。投手の継投システムを確立したとも言える。

今年から後半に休養日をつくったが、給水タイムはもちろん高温時間帯の休みタイムなど臨機応変な運営を望む。選手の健康第一に…そして熱球のドラマを。

雄姿 次の舞台
<2019.8.12 S>