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つまずいた若者たち 負けるな

◆バドミントン日本代表に復帰した桃田賢斗選手(23歳、NTT東日本)の快進撃が続いている。5月の国・地域別対抗戦、トーマス杯で世界ランク1位のビクトル・アクセルセン選手(デンマーク)や、リオ五輪金のチェン・ロン選手(中国)を破り、日本の準優勝に貢献した。

21歳で世界ランク2位という絶頂期の2016年4月、違法カジノ店での賭博問題が発覚し無期限出場停止処分、メダル獲得を有力視されたリオ五輪出場資格も失った。まだ記憶に新しい。

出場停止が決まった2年前。フィジカル面強化からやり直し、好物だった菓子類も断った。体重数kgアップ、かつ持久力もつけた。 勝ちを急ぎすぎ”一人相撲”があったが、試合運びにも幅が出ている。支えているのは変化したメンタル面だ。インタビューでも「昔の自分はただ勝てばいいと思っていた」「あの(出場できない)時間が、人として成長させてくれた」と語っている…今、試合で観客へ向かってお辞儀する姿がある。

約1年前に世界ランク282位から再スタートしたが、12位まで上がった(5月現在)。 過去はあえて振り返らず「目の前の試合を感謝の気持ちを持って。それだけは忘れずに、戦っていきたい」。

桃田選手は地に足をつけ、先を見据えている。

◆アメリカンフットボールの「悪質タックル」から、はや1カ月余りが経つ。なお尾を引いている。スポーツ、大学とは組織の在り方とは…多くの問題を投げかけた。

名門、日本大学の選手が関西学院大学との定期戦(5月6日)で、パスを投げ終え無防備な選手に、背後からタックルしケガを負わせた。幾度となく流れた公開映像、誰もがスポーツでなく”暴力行為”と目を疑った。 アメフット関東学生連盟は日大・内田正人監督と井上奨コーチの指示を認定し、永久追放相当の「除名」、タックルをした選手・チームには「出場資格停止」とする厳しい処分を下し、内田氏は後に日大常務理事も辞任した。関西学院大の選手側は、告訴状を警視庁に提出している。当然のことである。

◆あまりに違ったのは、説明責任である会見だ。

最後まで「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)があった」とした日大側と、自らの言葉で語った当該選手の覚悟と勇気。

事実がようやく見えてきたのは、”加害者”となった日大アメフット部の宮川泰介選手(20)が、氏名を公表し行った記者会見だ。 「名前を出さない謝罪はない」(弁護士)と、日本代表にも選ばれたことのあるがっしりとした体躯で、カメラの放列を前に深々と頭を下げた。そして経緯・思いを訥々と、かみしめるように語った。日大側の会見に比べ胸に響くものがあった。

「『相手のQB(クオーターバック)を1プレー目でつぶせば試合に出してやる』と指示を受けた」

「たとえ監督やコーチに指示されたとしても、『やらない』という判断をできず…事実を明らかにすることが償いの一歩だと決意しました」

「(好きだった)アメフットが好きでなくなった。この先、競技を続ける権利は(自分には)ない」

負傷した関西学院大アメフット部のQB奥野耕世選手(19)も、関西大戦(5月27日)で実戦に復帰した後、取材に応じ「家族や先輩にも励ましてもらい、やっとここまで来られた」と語り、宮川選手に対しては「またフットボール選手として戻って、グラウンドで正々堂々と勝負できたら」と、エールを送った。

”迷走”を続けた「大人たちの会見」が恥ずかしい。

大学の主役は、言うまでもなく学生である。その「根幹」をないがしろにするなら、大学の存在意義はない。

◆スポーツに限らず、つまずきはある。責任ゆえに厳しく苦しいが、同時に周りの支えや感謝を知ることもできる時だ…多くを教えてくれた。

若者たちの未来 頑張れ。

<2018.6.11>

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