諦めない 甲子園の春

球音が帰ってきた!第93回選抜高校野球大会が2年ぶりに甲子園球場で開幕した(19日)。
新型コロナウイルス禍、開会式行進は初日出場の6校だけ、残り26校は大型ビジョン映像で参加した。選手らはPCR検査、入場者数上限を1万人、アルプススタンドのブラスバンド演奏や大声での応援は禁止された。それでも一生懸命に拍手、事前録音のバンド応援などでプレーを盛り立てた。

◆東日本大震災から10年、被災地・仙台育英(宮城)の島貫丞(じょう)主将が、力強く選手宣誓した=以下抜粋。
「…この一年、は日本や世界中に多くの困難があり、それぞれが大切な多くのことを失いました。答えのない悲しみを受け入れることは、苦しくてつらいことでした。…当たり前だと思う日常は誰かの努力や協力で、成り立っているということです。
感謝。ありがとうございます。これは出場校全ての選手、全国の高校球児の思いです。
感動。喜びを分かち合える仲間とともに、甲子園で野球ができることに感動しています。
希望。失った過去を未来に求めて希望を語り、実現する世の中に。

そして、この3月で東日本大震災から10年となりました。日本、世界中に多くの協力や支援をいただき、仲間に支えられながら困難を乗り越え、10年前、あの日見た光景から想像できないほど希望の未来、復興が進んでいます。これからの10年、私たちが新しい希望の力になれるように、歩み続けます。
2年分の甲子園。一投一打に多くの思いを込めてプレーすることを誓います。」

◆”闘い”はまだ続いている。去年の自殺者が11年ぶりに増加、特に女性や子どもたちで深刻だ。失業者も増え続ける状況。経済が厳しい仕方ないではなく、今だからこそ寄り添う心、命を守り救う…それを最優先にする社会でなくてはならない。

10年前、東日本大震災の年に足を運んだ、炎天の夏の甲子園が忘れられない。バックネット裏のスコアボード上には横断幕があった。「がんばろう!日本」。

未来へ 特別の春
<2021.3.22 S>

3.11から10年 誰かのために

 自室の押し入れを探した、10年前の3月12日付新聞。
 2011年3月11日、東日本大震災。筆者は当時、単身赴任で産経新聞東京本社編集局次長として朝刊づくりの準備に入っていた…忘れられない、忘れたい記憶。

◆午後2時46分、産経新聞東京本社の編集局。突き上げるような、突然大きな揺れが来た。初めて命の危険を感じ、階段近くにいたため必死に駆け下りた。外に出て数分、再び編集局へ…全エレベーターは停止、スプリンクラーから滴り落ちる水、まだギシギシと不気味な音が響く階段、上り降りする社員をかき分け12階まで上った。

 「号外だ!」「新聞を作り届けるんだ!」怒号の中、十数分で「列島激震」大見出しの号外を作り上げ、すぐ朝刊本体の作成。騒然とした編集局、何度も来る余震の恐怖の中での紙面づくり。目が血走った記者たちが刻々と変わる状況を追う。ようやく少し落ち着きが出てきた午前2時過ぎ、「福島第1原発で爆発、放射性物質漏れ」の一報。瞬時に判断、1面に短め記事だが大見出しを突っ込んだ。
 何としても伝えるんだ!読者に、そして誰かのために…記者たちが眠りについたのは午前3時を回った。翌日から通常と違う紙面づくり、”長い闘い”が続いた。

◆東北の被災地に比べものにならないが、大都会東京も”もう一つの被災地”だった。
 コンビニなど生活品不足、交通網寸断で帰宅難民。時折鳴り響く余震の緊急地震速報。電力不足に陥り、あわや首都ブラックアウト(全域停電)の危機に怯えた。節電のため、地下鉄までが1ヵ月は薄暗かったはずだ…「普通」の有り難さを知った。

 島国日本、「防災」意識も高まっている。それでもやってくる自然災害。被害を最小化するための準備、避難、地域、連係、耐震、マップ、防壁…「減災」を改めて今、考えたい。

◆3.12から編集局幹部によるコラム特別編「From Editor 3.11大地震」が始まった。書いた何本かの”駄文”の中に、以下がある(抜粋)。
《「昔も今も、また未来においても変わらないことがある。そこに空気と水、それに土などという自然によって生かされてきた。(中略)…人間は助け合って生きているのである」。
 産経新聞記者の大先輩でもある司馬遼太郎さんが、小学校6年生用の国語教科書に書き下ろした「二十一世紀に生きる君たちへ」の一節だ。》
 今年は司馬さんが逝って25年の節目、胸に迫る。

 もう10年、まだ10年。今を生きる我々が、復興を支え抜く思いを新たにする日。

命見つめ つなぐ 
<2021.3.11 S>

宣言解除 スポーツと桜

関西圏など6府県の緊急事態宣言が解除されたが、”手放し”の解除ではない。弥生3月は別れと出会いの季節、かけがえのない時だ…しかし今年はもう一つ、個々が気をつけて動く時。

◆スポーツ界が動き出した。
瀬古利彦や宗兄弟らを輩出したびわ湖毎日マラソン最後のレース(来年から大阪マラソンに統合)が行われ、鈴木健吾(25)が2時間4分56秒の日本新で優勝した(2月28日)。

サッカーJ1がひと足先に先月26日開幕、大相撲三月場所は大阪から国技館に変更し今月14日に初日を迎える。19日にはセンバツ高校野球32校の熱戦が始まり、プロ野球も26日にセ・パ同時開幕する。感染を抑えつつ、観客数に制限はあるが徐々に増加をめざす。

スポーツは踏ん張る力、諦めない勇気をくれる。

その先に、コロナに勝った東京五輪を示したい。だが「勝った」とは一体何を意味するのか…完全な「安全・安心」はない、人知を傾けて少しでも「安全・安心」の形を求める。ただ経済のためだけの五輪はいらない。そして多くの人々が待ち望み、楽しみに感じないなら止めるがいい。

◆3月は桜月(さくらづき)ともいわれる。
多くの花は少しずつしぼみ、枯れていく。桜は決してそんな姿を見せず、一瞬に花びらを舞い散らせて終わり夏に繋ぐ…日本人の死生観。

初ざくら 見つゝもこぼす 涙かな
あこがれの たましひ宿れ 山桜
散る桜 残る桜も 散る桜
家族で、恋人と、一人でも…静かに桜を愛でて命を思う、それもまたいい。

今を生き 春の足音
<2021.3.1 S>