アスリート 橋本五輪会長

 女性蔑視ととれる発言で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が辞任し、橋本聖子新会長(56)が誕生した(18日)。
 橋本新会長は、まさに五輪の申し子。前回東京五輪が行われた1964年生まれ、スケート・自転車競技で冬夏五輪7度出場。森前会長に乞われて政界入りし“父娘”と言われるだけに、後ろに森氏が見え隠れするが…世界の組織委会長と同じ50歳代の新会長。信頼される「安全・安心」な東京五輪成功へ歩んでもらいたい。

◆森前会長の発言には、選手から非難の声、ボランティア辞退。さらにトヨタ自動車やJR東日本…スポンサー側の批判、「彼は去らなければならない」と放映権を握る3大テレビのNBCまで声を上げたことが大きい。頼みのIOCも一転批判声明、内外からの “引導”となった。
 もう一つ、世論にインパクトを与えたが後味がよくなかったのは小池百合子都知事の発言。「4者会談に出席しない」… いわば主催・ホスト側の会議に自ら欠席はあり得ない。秀でた政治嗅覚とも言えるが、他人事の言はいかがなものか。

◆森氏発言は立場上あまりにお粗末。すぐ謝罪撤回したが、何より時代を世界を読み間違えたのは確かだ。一方でこの時期の辞任によるマイナスを”主張”する声がなく、あっても腰砕け⁈ さらに一部メディアが煽り続けた感も否めない。
 
◆開会式まであと約5ヵ月。しかもなお不透明なコロナ禍。どういう形にするのか、矢継ぎ早の決断を迫られる。どうも政治色が目立ち、アスリートが弱い感が拭えない。
 橋本新会長がオリンピアンだからこそ、行える手があるはずだ。経済だけ帳尻が合えばいいではなく、世界最高峰のスポーツ祭典、オリンピック精神をどう繋ぐか。コロナに勝った五輪…至難の業だが、疲れた国民に前を向ける力がほしい。

◆大坂なおみが2度目の優勝を飾った全豪テニスは、準決勝から観客を入れた。当面の試金石としてはセンバツ高校野球、プロ野球…この春のスポーツが注目だ。
 「オールJAPAN」待ったなし。変わらぬものを大切に、変わらなきゃ。

原点へ オリンピック精神
<2021.2.22 S>

つれづれ 喜怒哀楽

◆喜
 白血病から復帰した競泳の池江璃花子選手(20)が、ジャパン・オープン女子50メートル自由形で24秒91で2位に入った。昨年8月の実戦復帰後、初めて表彰台に立った。体重も増え「成長を感じられた…少しずつ上り詰めていきたい」。
 コロナと闘う東京五輪。病と闘う”象徴”として期待されるが、焦らず無理はしないでほしい。20歳、君の五輪はまだまだ先があるんだから。

◆怒
 経済は資本主義社会の根本、大事だ。だがそれだけではあるまい。公のために私を捨てて…ましてや政治家よ、日本人の誇りはどこへ行ってしまったのか。
 国会議員が多勢で酒席、緊急事態宣言の只中に銀座へ。次の選挙では退いてもらわなければ!選挙区民も問われている。

◆哀
 ひょうひょうと生きた旅の画家、安野光雅さんが逝った。94歳。
 「進歩によって失った文化、取り返さねば」…片隅でカレンダー「洛中洛外」が、ふんわりと厳しく語りかけてくれた。

◆楽
 市井の人を描く作家・藤沢周平の作品を読み返している。「蝉しぐれ」「風の果て」…歴史は”勝者”の残したものと言えるが、”敗者”の生き様や幸も深く見つめてくれる。命を繋いで行く意味が静かに伝わる。
 「男はつらいよ」の舞台、老舗料亭「川甚」が230年余の歴史に幕を閉じた。名店が次々と消えていく。寅さんは言っている「たまによ生きてきてよかったなぁ、って思うことがあるだろ!そのために人間生きてんじゃねぇかい」。
 書、映画には励ましの力もある。

諦めない今 春信じて!
<2021.2.8 S>

*コロナ禍の中、この報道コラム「喜怒哀楽」は変わらず人を出来事を見つめていきます。S

前見つめ 2人のエール

■勇気!大阪女子マラソン
 第40回大阪国際女子マラソンは東京五輪代表の一山麻緒(23)が2時間21分11秒、18年ぶり大会記録(野口みずき2時間21分18秒)を更新し初優勝を果たした。

 今回は新型コロナウイルス禍、異例ずくめの大会となった。感染予防の一環として従来の市街地を巡る形から、長居公園の1周約2・8キロを約15周する平坦コース、ヤンマースタジアム長居競技場ゴール。
 42.195㎞。同じ風景の繰り返しにメンタル面の影響を指摘する声も多かったが、初の男子選手ペースメーカーの川内優輝(33)らが的確に、時に声をかけたりしながら引っ張った。

 スタートから一山と前田穂南(24)の東京五輪代表同士の一騎打ち。予想通りとはいえ、数人の選手の駆け引きがないは寂しく、次の世代選手の食らいつきを望むのは欲張りか?!
 一山が”一人旅”の最終盤では、トラックレースのようにラスト1周を知らせる鐘が鳴り響いた…新鮮で、頑張れ!の声援に聞こえた。沿道で応援してもらうことはできなかったが、その思いは選手に伝わったはずだ。
 そしてゴールのスタジアム入り口で、一山のペースメーカー川内、岩田勇治が静かに離れた。大会前に「完走したとしてもゴールシーンに映り込むような無粋なまねはしない。あくまでも黒子」と話したように…今回の難しいペースメーカーの使命を十分に果たした。もう一つの感動、拍手を送りたい。 
 一山麻緒はインタビューで涙ぐみ「大会を開催してくださった全ての方に感謝でいっぱい。私の力 不足で日本記録(野口2時間19分12秒)を更新できず…」と悔しさも見せた。閉塞感の今、その果敢な走りにこそ感謝したい。

 来年は大阪城、御堂筋を再び駆け抜ける!

■田中お帰り!楽天
 米大リーグ、ヤンキースからフリーエージェント(FA)となり、8年ぶりにプロ野球楽天への復帰が決まった田中将大投手(32)が入団会見(1月30日)。「東日本大震災から10年。自分にとって意味のあるタイミングじゃないかと思い、決断に至った。とてもワクワクしている」と意気込みを語った。

 冒頭、三木谷浩史オーナーは「コロナ禍で苦しい中、楽天に帰ってきてくれるということで、男気、心意気にも感謝している。東北、日本、世界を熱くする投球を見せてくれると思う」と期待を込めた。
 日本球界史上最高となる推定年俸9億円(推定)での2年契約。

 会見では2013年楽天を去ったときに、また戻るという思いはあったかと聞かれ「日本に必ず帰り、キャリアの晩年ではなくいいタイミングでばりばり投げたい思いはあった」。
 「(2年契約だが)1年が終わったらまた話をする機会をもらっている。どうなるかわからないが、米国でやり残したことあると思っている。選択肢は捨て去りたくなかった。腰掛けではなく、本気で日本一を取りに行きたい」。
 さらに東京五輪への意気込みも語った。「2020年では出られない立場にあったなか延期になり、日本球界に戻って出るチャンスがある。心から出たいと思っている。2008年北京五輪では悔しい思いをした。金メダルを取りたい」。
 そして8年前、最後にキャッチボールをしてから渡米した、亡き野村克也元監督に話が及ぶと「野村監督の下でプロのキャリアをスタートした。感慨深いものがあった。監督の教えとして、外角低めに投げる練習は胸に刻み込んで続けたい」。

 言葉を選んで話した記者会見。駒大苫小牧のマーくんの姿はなく、今やメジャーを代表する投手である自信の表れ、風格が漂っていた。
 日米177勝(メジャー78勝、日本99勝)。baseballの世界で堂々たる成績の実力、日本の野球界にも大きなものを伝えてくれるのは間違いない。

止めない スポーツの力
<2021.2.1 S>

*コロナ禍の中、この報道コラム「喜怒哀楽」は変わらず人を出来事を見つめていきます。S