家族 「諦めんだら」

  “巣ごもり”という訳ではないが、映画「浅田家」を観た。写真家・浅田政志さんの写真集『浅田家』と『アルバムのチカラ』が原案、監督は中野量太、主演に二宮和也。観終わって何とも言えず…ホッとした。

◆家族の写真を撮り続けた、写真家の実話。
 一生に一度しかシャッターを切れないとしたら…なりたかった職業、やりたかったこと、家族それぞれのコスプレ写真。父(平田満)の夢、消防士姿にウルっときて、母(風吹ジュン)の極道一家で爆笑した。その写真集が2008年「木村伊兵衛写真賞(写真界の芥川賞)」を受賞する。

 そして東日本大震災(今年3.11で10年)でガレキに埋もれた泥だらけの写真を洗い、家族に返すボランティア活動を通し父を亡くした少女との交流。岩手県野津町では、約8万枚の写真のうち約6万枚が家族の手に戻った。形は変わっても、今もなお続けられているという。

◆ 俳優や映像に何の飾りもなく、派手さはなくインパクトもない。それぞれの事情を持つ普通の家族に寄り添い、政志(二宮)は撮り続ける。東日本大震災で心に傷を負った人たち、撮影に入ると少しずつ家族の絆が浮かび上がる。苦悩の中、その笑顔が美しい!
 
 台詞も淡々とした当たり前の言葉だからこそ、沁み込んできた。
 政志(二宮)が兄・幸宏(妻夫木聡)に語りかけるシーン。「普通って何なん?」そこから家族、人々との交流が続く。兄・妻夫木が定職に就かない弟・二宮に語りかける、肩の力が抜けた自然体の演技がいい。
「父ちゃんも母ちゃんも、お前が頑張れば自分の事のように喜ぶ。ダメになったら悲しむんや」。
「諦めんだら、失敗やない」。

◆舞台は、原案の写真集を出した浅田政志さんの故郷・三重県津市。
 かつて夏の高校野球県大会決勝戦は決まって津市営球場(空襲で消失した東洋紡績工場跡地、現津球場公園内野球場)で、昭和の頃は石のスタンドだった。近くの鈴鹿サーキット場は”自由に”車で入れた。デカい津餃子、松阪牛…思い出も多い。だが、津は文化施設も集まる県庁所在地なのに、今ひとつ地味で特徴がない。津にこんな所あった?と新発見、やや分かりにくいが微妙な三重弁もいい。光が当たった!

 日本の最大課題は「少子高齢化」と言い続けてきた。映画やドラマの舞台やロケ地になっている地方都市は多い。初めこそエンタテインメントの力で観光客含め人が集まってくるが、いつの間にか徐々に忘れられていく。今改めて地元の民間力とともに、人、物、金…地方創生!そろそろ真剣に国・自治体も何とかせいよ。

◆容赦ないコロナ禍の現実、もうだめだと思う事があるかも知れない。だが、決して1人ではない。やるべき事やれる事を一歩ずつ…諦めんだら、未来はある。

命と絆 上を向いて
<2021.1.25 S>

*報道コラム「ニュース喜怒哀楽」は、変わらず人を出来事を見つめ続けます(原則月曜・不定期)。

「がんばろう 1.17」 命の灯


 6434人が亡くなった阪神淡路大震災は17日午前5時46分、発生から26年となった。神戸市中央区の東遊園地で行われた「1.17のつどい」では、竹灯籠に紙灯籠も加わり灯った「がんばろう 1.17」の文字が浮かび上がった…もう26年、まだ26年。
 新型コロナウイルス禍の中、人の密に配慮し「つどい」は前日から始まった。緊急事態宣言下で規模縮小や中止の所や、例年と違う形になった所が…それでも続けること!記憶と教訓を改めて胸に刻んだ。

◆京都・清水寺貫主の揮毫による年の瀬風物詩「今年の漢字」は、阪神大震災の1995年に始まり、「震」…この年は地下鉄サリン事件など重大事件、イチローらが「がんばろうKOBE」を合言葉に神戸が本拠地のプロ野球オリックスが優勝した。そして3月11日に10年となる東日本大震災2011年は「絆」だった。
 被災した方々の高齢化が進み、神戸市民の約半数が震災を経験していない人になっている。文字よりも、現実は厳しく容赦ない。真の「絆」は今も求められている。

◆「つどい」には遺族代表の加賀翠さん(65)が長男の亮さん(20)とともに出席し献花した。コロナ禍のため、亡くなった長女・桜子ちゃん(当時6歳)や犠牲者に向けた「追悼のことば」は会場では朗読されず、神戸市のホームページで公開された。

【追悼のことば】(抜粋)
 震災後程なく、桜子が夢の中に出て来ました…しばしば夢に出て来てくれまし た。それは私にとって非常に幸せな時間でした。
 それがある日、桜子は「ちょっと出かけて来ます。」と言い、夢に出て来なくなりました。それは、2ヶ月ほど続きました。後日、何人もの幼稚園のママ 友から「丁度その間、桜子ちゃんが夢に出て来たよ。」という話を聞きました。また、父が亡くなってから、桜子はほとんど夢に出てくれません。おそらく 「じいちゃん、じいちゃん!」って、父と天国で楽しく過ごしていることでし ょう。
 長い間、私の中での桜子は6歳の姿のままでした。中学生になり背の高くな った桜子の友達を見て、お正月の柳箸を大人用に代えましたが、やっぱり6歳 の姿のまま。12 歳離れた弟が中学生になり私より背が高くなっても、やはり私 の中での桜子は6歳の姿でしかありませんでした。
 それが震災 20 年目のある日、26 歳になった桜子の友達がお子さんを連れて来 られ、桜子の一番の友達も結婚しました。その時、急に私の中で桜子は 26 歳の お姉さんになりました。今生きていたら桜子は 32 歳…また、私が桜子を出産したのは 33 歳でした。桜子も今生きていたらこのような感じで生活しているのかなと思います。
 桜子、そうチビちゃんはとても優しい子だったよね。震災後、幼稚園の先生 から「転校して来た子に最初に声をかけてあげるのはいつも桜子ちゃんだった。」 と聞きました。また、近所の人から「街の太陽だった。ちょっと人の顔が見え たら挨拶して、可愛らしくてね。」と言われました。桜子はいつもにこにこして…だから 私も泣かずに、出来るだけ桜子のような笑顔を心がけています。そして、迷っ た時は桜子だったらどうするかなと考えて決めています。
…今このコロナ禍、天の配剤だと思って、少し立 ち止まってゆっくりするつもりです。だから桜子もじいちゃんと夢に出て来て 下さい。32 才になった姿を見たいです。そして今世界中が大変な時、何卒皆で 私達を見守って下さい…。

◆せめてこの日、起こったこと関わった人を想い出す。そして誰かのために何かを行う…命を見つめ続ける、それが防災減災にもつながる。

今を乗り越え 継なぐ
<2021.1.18 S>

再発令下 負けるな新成人

 新型コロナウイルス感染拡大が止まらず、東京など1都3県の首都圏に緊急事態宣言が再発令された(7日)。その2日後には大阪、兵庫、京都の関西2府1県も政府に要請した。
 幅広く自粛要請した昨年4月の発出時と違い、今回は夜の飲食店”ピンポイント作戦”。医療機関崩壊危機の中、感染封じ込めと経済維持のバランス判断と言えるが…特措法改正も急がなければならない。

◆歴史上稀にみる厳しい状況下、11日は成人の日。
 1948年(昭和23年)の祝日法で「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」ことを趣旨としている。例年、豪雪や帰省しやすい時期を考慮して大型連休中やお盆の時期に行われる地方も多い。
 2021年(令和3年)の新成人人口は124万人(総務省)。前年比約2万人増だが、総人口に占める割合は11年連続で1%を下回った。

◆関西でも大阪市などを始め、全国で成人式、集いの延期が相次いだ。東大阪市では屋外の近鉄花園ラグビー場で、兵庫県西宮市は阪神甲子園球場で、またオンラインなどで行われた自治体もあったが、例年とは”一変”した。式の後、マスクを外し騒ぐ”荒れた”所もあったが…。
 久しぶりの旧友との再会、ずっと楽しみにしてきた晴れ着… 出席できないようなことがあっても中止になったとしても、堂々と大切な今をそれぞれの想いをかみしめてほしい…1人だけではない、決意と感謝の誓い。親はもちろん大人たちにとっても、20歳の揚々たる前途にエールを送り祈る日だから。

◆白血病と闘い、 新成人となった競泳の池江璃花子選手「悔しい思いをしたり、気持ちが落ち込んだりすることもありました。そんな時こそ、目標を忘れず失わない…それが一歩前に進ませ、大きくしてくれるものだと思います」。
 ゲーテ「自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる」。

可能性は無限   祝20歳
<2021.1.11 S>

*令和3年おめでとうございます。報道コラム「ニュースキャプテン 喜怒哀楽」は、変わらずに人を出来事を見つめ伝えていきます(原則月曜・不定期)。S