◆余りにも突然の訃報だった。
女優、竹内結子さん(40)が亡くなった。自殺とみられる(9月27日)。いま透明感No.1の女優。日本アカデミー賞でも多くの賞を獲得、2児の母でもある。
2004年「いま、会いにゆきます」(原作・市川拓司)では前夫、中村獅童と共演。「1年たったら、雨の季節に又戻ってくるから」…亡くなったはずの妻澪役として現れ、夫と1人息子との慎ましい3人の共同生活。そして別れ。静かな仕草や表情に透明感があふれ、一気に自然体の名女優に。
ドラマでは、中高年世代の筆者は「プライド」(2004年)が印象深い。まだマイナーだったアイスホッケーを舞台に、人気絶頂のキムタク(SMAP木村拓哉)とのスポーツ恋愛ストーリー。カッコよく愛くるしく、芯の強い女性を好演した。
◆約2カ月前には俳優、三浦春馬さん(30)も自殺とみられ、亡くなった(7月18日)。奇しくも映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」が、共演した竹内結子さんの遺作ともなった。
2013年の「永遠の0」(原作・百田尚樹)は何度も観た、忘れられない。「海軍航空隊一の臆病者」「何よりも命を惜しむ男だった」と言われた特攻隊の主人公・宮部久蔵(岡田准一)の孫役。司法試験に4年連続で落ち続け、進路に迷いながら成長していく等身大の現代青年を好演した。
2人の姿はもう観られない、残念でならない。芸能界で自殺とみられるケースは女優、芦名星さん(36)、俳優、藤木孝さん(80)と、わずか2カ月で4人にもなる。
◆新型コロナ禍が長引く中、自殺者数が増加の兆しをみせている。8月は1849人に上り、前年同月比で15%増、246人増だ(速報値)。失業や健康問題、精神的ストレスなど複雑に多様に絡み合っている。
*こころの健康相談ダイヤル0570-064-556
*日本いのちの電話0570-783-556
*よりそいホットライン0120-279-338
一方で、かつてはSNSなどはなく直接顔を見て話し生のやりとりがあった。人と人とのつながりの大事さも再認識したい。
決して1人ではない…少しの勇気を出して家族、友人らに相談し、声をかけ合ったり思いやったりする…そこに生きる力が秘められている、と信じて。
生きる道 必ずどこかに
<2020.9.28 S>