天皇誕生日 還暦のお誓い

 天皇陛下が60歳の誕生日を迎えられた(2月23日)。令和初めての天皇誕生日、皇居・宮殿などで諸儀式に臨まれた。一般参賀は、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大防止のため中止になったが、国民の慶祝の思いは変わらない。

◆先立ち、赤坂御所で記者会見されその決意を示された。
 「日本国及び日本国民統合の象徴としての私の道は始まってまだ間もないですが、たくさんの方々からいただいた祝福の気持ちを糧に、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、研鑽を積み、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、象徴としての責務を果たすべくなお一層努めてまいりたいと思っております」。

◆陛下は60年を振り返る中、世界との出会い触れ合いとして昭和39年(1964年)の東京五輪と昭和45年(1970年)の大阪万博を挙げられた。五輪は、円谷選手のマラソン銅メダルや、上皇ご夫妻と訪れた閉会式で「国を超えて選手団が混じり合い行進する姿」を思い出され、「世界の平和を切に願う気持ちのもとになっている」と明かされた。万博では「世界にはこれほど多くの国があり、一つ一つが様々な特色を持っていることを目の当たりにしました」と振り返られた。

 阪神大震災や東日本大震災などは「忘れることのできない記憶」、さらに「長く被災地に心を寄せたい」と述べられた。また虐待や貧困などの重い問題にも触れ「次世代を担う子どもたちが、健やかに育っていくことを願ってやみません」と。

◆そして「もう還暦ではなく、まだ還暦という思いでおります」と語られたのは、国民にとって何より心強く、勇気づけられる。

寄り添い つなぐ日本
<2020.2.23 S>

月見草「19」 偉大な野球人

 プロ野球の南海などで活躍し、ヤクルト、阪神、楽天の監督を務めた野村克也さんが死去した(2月11日)。84歳、京都府出身。

◆1954年(昭和29年)に南海テスト生として捕手で入団。1965年に戦後初の三冠王、南海の黄金時代を支えた。70年からは選手兼監督となり、73年に優勝。その後ロッテ、西武に移籍し、1980年に45歳で現役引退。通算3017試合出場、657本塁打は歴代2位。9度の本塁打王、史上最多となる通算19回ベストナインにも選ばれた。1989年、野球殿堂入り。

◆監督としては「ノムさん」と親しまれ、1990年(平成2年)からヤクルトを率いた。データ重視の「ID野球」を掲げ、リーグ優勝4度、3度の日本一。データ野球と言われたが、戦力外を経験した選手を再び1軍の戦力として甦らせる手腕は「野村再生工場」と呼ばれ、「監督ってのは気付かせ屋なんだ」…不遇の選手に向ける情にもあふれた指導者だった。
 巨人の王、長嶋に強烈なライバル心を燃やし「王や長嶋がヒマワリなら、俺はひっそりと咲く月見草」とたとえた。「生涯一捕手」「ボヤキは高みに登ろうとする意欲」「弱者でも強者に勝てる」「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」など多くの名言も残した。

◆オヤジ世代には、何と言ってもスリバチ状の大阪球場(現なんばパークス)。南海の捕手、背番号「19」の勇姿だ。1970年代初め、中学生だったと思うが試合にワクワクしたとともに、大阪弁ヤジも独特の深さがあった。当時、捕手兼任監督の野村捕手に「南海の監督さん!キャッチャーへぼやから、替えた方がええでー!」バックネット裏からの大声に、思わず吹き出す。そこにはファンの愛情があった。
 都会のど真ん中大阪球場には、社会人になっても時折行った。7回以降は誰もが外野から”自由に”入ることができ、すぐ横の高島屋の地下で缶ビールとつまみを持ち込んで観戦した。お金のない若い頃のデート、一度や二度ではなかった…夏の風が心地よく今も肌に残る。
 なんばパークスには、ピッチャープレートとホームベース跡がある。

◆「二度も女房のせいで監督をクビになった」…南海監督時にいわゆる”不倫”と、阪神監督時のサッチー(沙知代夫人)脱税事件。「球界を追われたと言うが、幸せな人生だった。感謝しかない」と、沙知代さん(2017年死去)をかばい続けた。
 今の球界を引っ張る人材を育て日本野球を育て、自らは勝負の世界だけで生きてきた野村さんは晩年ボソっと「女房は道案内だった」「女房がいなくなって痛切に思う、男の弱さを…」。
 今シーズンから東北楽天ゴールデンイーグルス一軍作戦コーチの息子・克則さんは「自分があるのは、おかげ」。

◆最後まで球団幹部に就かず、反骨で咲いた野球界の大輪…とりわけ関西の喪失感は大きい。少子化が進み、野球人口も減っている日本。ノムさん!見守ってボヤいてほしい。

日本球界 継げイズム
<2020.2.13 S>

*週1本ペース(原則月曜日)で書いてきたこの報道コラム「喜怒哀楽」も、100回目となりました。変わらずニュース・人を見つめて続けていきたいと思っています。よろしくお願い致します。S

新型肺炎 拡大阻止こそ

 中国武漢市に端を発した新型コロナウイルス感染は1万7千人を超え、死者は350人以上に上った(2月3日)。人から人へ感染、中国の春節とも重なり…世界中で日々増え続けている。
 また米英仏独、香港、タイや豪州、北欧スウェーデンまで、中国以外での感染者が確認された国・地域は20以上。日本国内でも感染者は20人となった。

◆ 世界保健機関(WHO)は3回目の緊急委員会でようやく、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言した(1月31日)。
 国際社会を意識した中国は、2002〜2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)発生時に比べ、”早め”情報公開などを行った。「武漢封じ込め指示」も出されたが、約500万人がすでに”脱出”した後だった…今なお、感染源については明確になっていない。

◆中国市場には、日本企業が多く進出している。自動車、電機、食品、小売…すべての業種にわたる。日本政府はチャーター機4便に分けて、武漢市から日本人約600人を帰国させた。依然、春節休業を延長せざるを得ない企業が相次いでいる。日本だけでなく、中国から国外への観光客は大きく増えた。今の状況が続けば世界経済にも打撃となる。

◆日本政府は、2月7日施行予定だった感染症法の「指定感染症」にする政令を1日施行に前倒しした。安倍首相は「これにより、入国しようとする者が感染しているなら入国拒否する」。
 今後は、増えると予想される感染者を速やかに受け入れる病院・施設の確保が重要だ。海外のように島に一時”隔離”でなく、拡大阻止へ重症者抑制へ万全の対策こそ。

◆ 新型コロナウイルス肺炎の感染力は強いが、SARS(世界700〜900人死亡)に比べ今のところ死者・重篤者率は低い。うがい・手洗い、ウイルスが弱いアルコール消毒、マスク着用の徹底で対処できる。冷静な対応が必要だ。
 大阪府感染症情報センターによると、感染力はインフルエンザ並みか低いとみられ、現時点では致死率も2%ほど。「ほとんどは回復しており、現段階では恐れるほどではない」と指摘している。
 しかし無症状感染への限界もあり、3次感染を避けるためには…そしてもう一つ怖い、心ないデマと中傷。国の正確で早い情報発信とともに、個々もしっかり情報をとらえなければ。

正しく恐れ 正しく対処
<2020.2.3 S>