凛と 2人の日本女性

 凛とした2人の日本女性が逝った。その生き方をまだまだ見せ続けてほしかった…寂しい限りだ。

◆女優・八千草薫さん88歳。大阪出身。
 幼い頃に父親を亡くし、宝塚歌劇団入り、その後女優となった。
 「宮本武蔵」でお通役、「男はつらいよ 寅次郎夢枕」のマドンナ役や「くじけないで」100歳の詩人柴田トヨ役…ドラマでは不倫の妻を演じた「岸辺のアルバム」、古き不器用な板前の母役「前略おふくろ様」も忘れがたい。ふわ〜とした柔らかな品、清楚な奥に秘めた芯の強さ…重ねてきたその齢その時に、魅力がじわりとあふれた女優。

 19歳の時に19歳年上の谷口千吉監督と結婚。葛藤もあり、芸能界引退を考えた時期もあったという。そして夫婦で本格的な登山をするようになる。八千草さんは、インタビューで人生で一番大事だと思うものは?と聞かれ「難しい質問ねぇ(しばらく考え)…やっぱり愛かしら」。
 我ら還暦世代には、永遠の憧れ。

◆緒方貞子・元国連高等弁務官92歳。東京出身。
 緒方貞子さんに「貞子」と命名したのは曽祖父の犬養毅元首相。首相官邸へ乱入した海軍将校たちに「話せば分かる」とたばこを勧めたという犬養が、「問答無用」と銃撃された時、貞子さんは4歳。記憶はなくても、いつ何が起こるか分からない「世の非命」は、その生涯を導いたのではないだろうか。

 政治に翻弄された難民、子どもたちを救うことに生きた緒方さん。机上より危険な場所にも自ら足を運んだ。過酷な現場でも、時にユーモアやちゃめっ気を忘れない素顔もあったという。かつて、難民について「かわいそうだからしてあげるというものではない。尊敬すべき人間ですから、その人間の尊厳というものを全うするために、あらゆることをして守らなきゃいけないという考え方です」ときっぱり述べている。
 今、ルワンダなど世界各地に命をつないだ「オガタ サダコ」と名付けられた子どもたちがいる。

◆既存のルールにとらわれない信念、それでいて普通の思い…人間の本質を貫いた2人。

お疲れ様 “天命”の人
<2019.11.11  S>