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「今日をもち、天皇としての務めを終えることになりました。… 象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に心から感謝します」。
4月30日「退位礼正殿の儀」を終えて、天皇陛下が譲位された。譲位は光格天皇(江戸時代)以来、202年ぶりである。明日から天皇陛下皇后陛下は、上皇、上皇后となられる。
平成30年余り、今日をもって終わる。
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◆天皇陛下のご公務は年間700回を超える。内閣総理大臣の任命、執務などの国事行為。植樹祭や一般参賀、外国元首来日時の宮中晩餐などの「公的行為」。公的性格を有する「慈善」的な催事と、ご研究や宮中祭祀など私的行為の「その他の行為」に分けられる。
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天皇陛下は激務を続けてこられ、平成28年に「譲位」を望まれる意向を示された。日本国中が驚きに包まれたが、それはまさに陛下のご英断だった。平成30年12月23日にご在位中最後となる85歳の誕生日。先立つ記者会見では時折涙で声を詰まらせられ、しみじみと振り返りお言葉を述べられた。
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◆大災害が襲った平成時代。天皇陛下はとりわけ被災地訪問に、全身全霊で力を注がれた。
ご高齢をおして、何度も災害被災地をご訪問。膝をつかれて被災者に寄り添い声をかけられる姿に、被災地の方々だけでなく国民全体が励まされた。
平成7年の阪神大震災。皇后さまは焼け跡に、皇居で摘まれた17本のスイセンをそっと置かれた。ひと筋の希望…そしてバスの中から、被災者に”頑張って”と小さくガッツポーズをされたお姿が忘れられない。
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◆また両陛下は、戦争慰霊の旅にも深く心を砕かれた。戦後50年、60年、70年の節目の年を迎え、大戦の激戦地となったサイパン、フィリピンなどにも赴かれた。訪問は35カ国に上る。
「先の大戦で多くの人命が失われ、また、我が国の戦後の平和と繁栄が、このような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人々にもこのことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました。
平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」。
平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」。
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◆そして、国民に感謝と美智子皇后への労いのお言葉を述べられた。
「…振り返れば、私は成年皇族として人生の旅を歩み始めて程なく、現在の皇后と出会い、深い信頼の下、同伴を求め、爾来この伴侶と共に、これまでの旅を続けてきました。
天皇としての旅を終えようとしている今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います」。
天皇としての旅を終えようとしている今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います」。
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「平成」 敬愛と感謝
<2019.4.30 S>
<2019.4.30 S>
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*平成から令和へ、今日明日と続けて綴ります。変わらぬ人の喜怒哀楽をつないで…ご愛読いただければ幸いです。S