自民党総裁選 もっと身近に

事実上の日本国首相を決める自民党総裁選挙、安倍晋三総裁(64)が3回連続当選を果たした=9月20日。地方票405・国会議員票405を合わせた獲得票で勝敗を決し、石破茂元幹事長(61)を553票―254票で破った。

今後3年間の任期。来年11月19日には、桂太郎(元長州藩士・陸軍大将)の首相在任日数2886日と並び「歴代最長首相」となる。

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◆石破氏は、戦前の予想に比べ地方票の約45%181票を獲得し「善戦」と言われたが、結果は完敗である。「出来レース」との声さえ聞こえてくる。

評価するべきは、石破氏が出馬し無投票にしなかったことだ。選挙戦も行わずまた無投票になっていれば、”首相選挙”はますます国民から離れ国民不在の政治になっていったはずだ。

しかし、今回の総裁選は盛り上がりに欠けた。早々と安倍氏が国会議員票の8割以上を押さえて「当確」。さらに候補2人の主張の違いが分かりにくい。ベースは同じ自民党の政治理念、違いは憲法改正しかもそのスタンスぐらい? 安倍氏の実績を認め、上回る議員がいない…結果は必然だった。

安倍氏は選挙後すぐに党要職・内閣に石破派から起用しないと、方針を明らかにした。少子高齢化、対米中露、対北朝鮮では非核化、拉致問題、来年には参院選も控えている…国内外に難題山積の時期、政治的に前へ進むためには当然といえる…一方で安倍政権の正念場、ブレない一国の”舵取り集団”を期待したい。

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◆地方票は、党員・党友106万人以上(2017年)の票を全国一括で集計、得票数に応じて405票分(国会議員票と同数)を比例配分する。単純計算だと約2600人=1票か…。

総裁選の仕組みは2014年の改正で、300票と固定されていた地方票が国会議員票と同数(今回405票)になり、地方票を重視する制度になった。

実は改正のきっかけは2012年の前回総裁選、決選投票は今回と同じ対決構図「安倍ー石破」。1回目投票、地方票で石破氏が圧勝したが過半数に届かず、国会議員のみの決選投票となり安倍氏が逆転した。当時、衆参合わせた国会議員票198、地方票300だった。

この時、結局は国会議員だけが決めるのか⁈ 「地方の声があまりに弱い。もっと反映してほしい!」との声が上がったからだ。

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◆今回の選挙戦で唯一と言ってもいい興味は、小泉進次郎氏(37)の動向だった。キーマンとして小泉氏は、やっと投票日当日に前回と同じ石破氏支持を表明。「健全な批判勢力が必要だ」と語ったという。

安倍陣営からは「仮に小泉氏の表明が7日の告示前だったら、地方票で逆転されていたかも…」という安堵のささやきも。

事実、2001年総裁選では父・小泉純一郎氏が地方票で圧勝することが分かり、”勝ち馬”に乗ろうと国会議員票も小泉氏に雪崩を打ったことがある。

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“土壇場”での小泉氏の表明。冷遇覚悟で敗者につくことで対外的に筋を通し、一方で安倍氏にも、ギリギリの態度表明で礼を示し決定的な関係悪化を回避。考え尽くされた絶妙のタイミング⁈ 恩を売ったのか⁈

注目される内閣改造・党役員人事。安倍氏は、石破氏らを冷遇するが「挙党内閣」の形を見せるはずだ。その候補に小泉氏の名があがり、大臣でなくても”表舞台”に出る可能性はある。小泉氏を抜擢すれば政権の目玉になり、挙党態勢も示すことができる。

さて小泉氏はどうするか。「戦が終わればノーサイド」と受諾するか、「石破氏を推した立場として資格はない」と固辞するか…先も見つめ、その立ち居振る舞いは小泉氏自身も問われることになる。明日になれば分かることだが…。

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◆「総裁選って?どうせ国会議員で決めるんでしょ」と、諦めにも似た思い…国民にはいつも”遠く”感じる。何とかもっと参加できないものか。

反対、批判ばかりの野党、政策力・実行力とも健全な2大政党制にほど遠く…一足飛びに米大統領選のように、とも行かない。さらに成熟した政治社会のもとに、制度改革も含め「国民の1票」が重みを増す将来こそ願う。

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国民主権日本  1票の重みは

<2018.10.1    S>