「自分らしく」 さらば2人

◆樹木希林さん逝く、75歳(9月15日)。左目の失明、全身がんでも淡々とした生きざま、人の強さは自然体なんだと教えてくれた。映画「万引き家族」の絶妙な姿、「寺内貫太郎一家」の身もだえ「ジュッリー!」…肩の力が抜けた存在感、記憶に残る。

/

その語録も深くホッと、恐れ入る。

「靴下でもシャツでも、最後まで使い切る。人間も十分生きて自分を使い切ったと思えることが、人間冥利に尽きるということ」

「他人と比較しない。世間と比較しないこと。比較すると這い上がれないので」

「…来世で出会わないために、今完璧に付き合っているのよ」(抜粋)

/

ロックンローラー内田裕也さん(78)との夫婦生活も、凡人には理解できない。初デート後すぐ内田さんがプロポーズしスピード婚(1971年)、そして間もなく別居。

1981年には、夫・内田さんが一方的に離婚届を提出。この騒動の会見で、樹木さんは「これから本当の夫婦の一歩」とさらりと語り、内田さんは妻・樹木さんのことを「ひと口で言えば、おっかないひと」。その後樹木さんは、裁判で離婚届を「無効」にする強さを見せた。結果、40年以上の”別居婚”。

/

数日後、内田さんが思いをつづった。

「…啓子 今までありがとう」(かつては樹木さんを頭文字の「KKさん」と呼んでいたが、本名の「啓子」と呼び掛けた)

「おつかれ様…見事な女性でした」

内田さんは、30日に営まれる樹木さんの葬儀で喪主を務める。

/

◆翌16日には「平成の歌姫」、安室奈美恵さん(40)が引退した。

1970年代、バブル崩壊から間もなく日本がまだ下を向いていた頃、「アムラー」と呼ばれ社会現象にまでなった安室奈美恵さんが登場した。厚底ブーツで上を向いて歌い踊り、若い女性たちを牽引し元気づけた。そう、日本を後押ししたのは、政治でも企業でもなかったのかもしれない。

安室さんの活躍で、女友達は初めて胸を張って「私、沖縄出身です」と言えるようになったと言った。

歌やファッションだけでなく、同じ時を生きた人々と等身大だった⁈ それが同じ世代の背中を押し、つまずいた心を励ました。街頭インタビューで若者たちは「安室奈美恵も頑張ってるから、私も」「僕の人生変えてくれた、ありがとう」…日本、捨てたもんじゃない!

/

この人の言葉も温かく、”応援歌”に聞こえてくる。

「私も、仕事柄、自分の事を書かれるのは仕方ないと思うし、自分自身の事であれば何を書かれても構わない。でも、大切な家族や自分の生き方を”安室奈美恵”の犠牲になんてさせない」

「経験することは、一番の未来につながるもの」

「誰にでも時間は平等だし、過去は変えられないけど、今や未来は自分しだい」(抜粋)

ラストライブは9月15日。東京ドーム10分の1にも満たないが、故郷沖縄・宜野湾市の会場だった…日本中のファンを感動と涙で包み込み、さっそうと去った。そして翌日引退日、故郷が送りだす花火をさらりと浴衣で楽しんだ。

/

◆時代とともに、人それぞれがリンクした映画・ドラマ、そして音楽。最後まで第一線の2人…「自分らしく」貫いた。

/

心は Never End

<2018.9.24    S>

///////////////////////////////////////

▼「ニュースキャプテン 喜怒哀楽」―事実は小説より奇なり!?ニュースや日々の出来事に目を凝らし、喜怒哀楽を伝えていきたいと思います(毎月曜予定)。

褐色の肌 大坂なおみ選手快挙!

アメフット、ボクシング、体操…2020年東京五輪まで2年を切り、選手ファーストが当たり前の世界で”不祥事”が相次いでいる中、爽快なスポーツ界の出来事だ。

◆テニスの全米オープンで大坂なおみ選手(20)が、4大大会=全英・全仏・全米・全豪=シングルスで日本勢初の優勝を果たした。日本人選手がまったく歯が立たなかったビョルン・ボルグ選手(1976-80年 全英5連覇)世代としては信じられない日、嬉しい!

◆大坂選手はハイチ出身の父、日本人の母の間に大阪で生まれ、3歳で米国へ。幼い頃遊びに来ていた大阪市の靭テニスセンターは、一気に盛況だという。祖父母は北海道根室市に在住。台風や地震の被災地となった大阪や北海道も励まされた。

決勝の相手が、四大大会23度の優勝を誇り、大坂選手の憧れの存在セリーナ・ウィリアムズ選手(36)だったことも初制覇に彩りを加えた。

大会後に今最も食べたいものを聞かれると、たどたどしい日本語で「トンカツ、カツ丼、カツカレー…抹茶アイス」。インタビューの受け応えに、日本人女性の素顔と魅力も見せてくれた。


◆イケメンのドイツ人コーチ、サーシャ・バイン氏(33)の存在も大きい。大坂選手の飛躍の根幹は、身長180cmの身体を自由に繰れるようになったフィジカルの強さだ。しかしスポーツ・勝負の世界で、いかにメンタルが大事かも示した…大坂選手の完璧主義を解消した精神改良、それを成し遂げたのはコーチの手腕だ。これも「選手ファースト」の一つと言える。

大坂選手のパワーに焦る?女王セリーナ選手の苛立ち…さらに判定・抗議やブーイングで騒然とする中、平常心を失わなかった精神的成長、世代交代も見せつけた。

/

◆褐色の肌をした大坂選手の快進撃に、日本中の多くのファンが感動した。一方で「純粋な日本人と違うしなぁ…」などと”心ない”声もあった。この活躍が、日本のさらなる「国際スポーツ国」への後押しとなってほしい。

陸上競技ではケンブリッジ飛鳥選手、サニブラウン・ハキーム選手といった海外にルーツを持つ日本人選手が五輪代表を目指し、最速を競っている。バスケットボールや野球、サッカー、ラグビーなどでも、いま普通の光景だ。国民の期待とともに、選手たちの目標・憧れになりつつある。

スポーツの世界だけではない。来日外国人を含め、さまざまな国籍、人種の人々が国内に暮らす。あえて言うまでもないが、それが健全なものである限り差別・偏見から解き放たれた社会でなければならない。

/

真のスポーツ国  JAPANへ

<2018.9.17    S>

災害列島 力合わせて

ゴォーと風が渦巻く音とともに、社ビルが揺れた。スタジオの外窓が外れかけて、あわや大惨事か…それほど凄まじい暴風雨だった。

9月4日正午頃、非常に強い台風21号が徳島に上陸、2時間後には神戸に再上陸した。近畿を中心に大きな被害をもたらし、死者は5府県で13人に上った。

[ニュース情報部はM部長・Fアナウンサー・Sキャプテン連携で、刻々と変わる状況をタイムリー報道]

◆日本列島に上陸した台風は1951年以降、今回の21号がちょうど200回目となった。7~9月に集中し164回、8月が70回と最も多い。都道府県別にみると、1位・鹿児島41回、2位・高知26回、3位・和歌山23回。

◆気象庁は朝からすでに暴風・大雨など警報を発令。JRや私鉄も前日から運休予告を初めて行った。「えーっ!今から」などと驚き、批判の声も聞かれたが、早い判断と”脅し”は懸命で効果的だったといえる。平日昼の大阪の都心に人が少ないことが負傷事故や混乱、帰宅困難者…多様な人的被害を抑えた。

◆一方で、お粗末なタンカーの関西国際空港連絡橋衝突。当時、瞬間最大風速51.8メートルが吹き荒れる関空周辺。一気に流されてしまうことは容易に予測できたはず、事前に湾から離れるとか何か手は打てたはずだ。衝突により片側車線が大きく損壊し道路が盛り上がり通行不能、あげく関空には8000人が孤立してしまった。

海と見まがうように浸水した関空は翌日から、被害を免れたB滑走路を使用し国内線、翌々日には国際線が一部再開するという迅速な対応。いい教訓として大阪空港・神戸空港と連係し発着便を振り分け、オール関西の見せ所だ。状況に応じ、即座に対応できるルールを作るべきだ。

◆延べ約219万戸が停電した関西電力は、情報提供不足や停電解消・復旧に手間取った感を否めない。

近畿では6日経ってもなお約1万戸(10日午後現在)で停電が続き、和歌山、京都の一部地域では長期停電の恐れさえある。

◆その2日後の未明、北海道胆振(いぶり)地方で最大震度7の大地震が起き40人の死者を出した(10日現在)。

ライフラインはまひ、北海道の半分の電力を担う苫東厚真発電所が緊急停止した…道内全域で停電となる国内史上初の「ブラックアウト」に陥った。停電は解消されたが、供給不足のため道民に2割節電を求め、その上で計画停電の検討にも入る異常事態だ。

2011年の東日本大震災後、首都・東京は電力逼迫で、計画停電の寸前までいった。地下鉄など節電を優先し、数週間は薄暗かったのを覚えている。少しくらいの暗さや不便さを受け入れ、協力が大切な時だ。

◆被災者支援も急務だ。20日投開票される自民党総裁選真っただ中だが、”支援予算”を最優先するべきだ。多くの企業も救援金を募っている(OBCも実施)。被災自治体・地へではなく「被災者の手に」渡ってこそ支援だ。さらにその先の「働く場」提供など、被災者の再起こそ求められる。

◆「異常気象だ」「地球全体が変だ」「想定を超えた事態」とよく耳にする。もはやこれが「普通」と考えるべき時代ではないか…そして減災へ備える。

乗り越えろ 日本列島

<2018.9.10    S>

またか 病める米の銃社会

”自由の国”米で、また若者による銃乱射事件が起きた。銃規制が議論になる中、一向に減らない。

◆米南部フロリダ州で開催されたオンラインゲーム大会の会場で、白人のデービッド・カッツ容疑者(24)が銃を乱射する事件があり、2人が死亡し11人が負傷した(日本時間8月27日未明)。目撃者によると、カッツ容疑者はその場で自殺したという。地元当局はテロの可能性はなく、単独犯としている。

2月にはフロリダ州パークランドの高校で、退学処分となった容疑者が銃を乱射し、生徒ら17人が死亡する事件が起きた。その後”標的”となった学生たちが「もう我慢できない」と銃規制を求める声を上げた。事件があった週末、全米各地で学生や市民を中心に大規模デモが起き、ロサンゼルス市庁舎の前には銃規制を求める10万人以上の市民が集まった。

◆米国の人種構成比率は意外にも?白人が78.1%を占める大多数、黒人が13.1%、その他が8.8%となっている(2011年時点)。しかし誤解を恐れずにいうならば、ヒスパニック系、アジアン、先住民ら人種のるつぼゆえの”差別”は根深い。自己防衛に過敏になる一因ではないだろか。

2003年(米同時多発テロ9.11から2年)に米マスコミを視察した。首都ワシントンのレストランで夕食をとったが、空席が目立っていたにもかかわらず奥の端っこの席へ追いやられた記憶がある。有無を言わさぬ応対に”気圧”された。

そして国旗・星条旗を目にする機会が、日本に比べ圧倒的に多い。行く先々であちこちで目にするのは、なるほど人種をまとめる重要な役目を果たしていると感じた。

◆米では銃を500ドルで簡単に買える。ガンショップは全州で5万店を超え、これは日本国内のコンビニ店とそれほど変わらない数だ。この点だけでも米の銃規制が簡単でないことを表している。

また、銃による死者は3万人を超える。その内訳は、殺人よりも自殺の数が圧倒的に多い。自殺が約6割を占めており殺人は約3割といわれる(残り1割は意図しない事故・誤用)。

◆アメリカ合衆国憲法修正第2条

【規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない】

この条項が米国における銃規制反対の根拠になっている。この”武装権”は、2つの説を持つ―民兵を組織するための州の権利であり個人に銃所持を認めたものではないとする集団的権利説と、個人が武装する権利であるとしてみる個人的権利説だ。

銃規制に反対する巨大な圧力団体が全米ライフル協会だ。1871年、南北戦争に勝利した北軍出身者、銃販売業者や銃愛好家などにより設立され、会員は約400万人に上る。映画「ベン・ハー」の主演男優チャールトン・ヘストンも協会長を務めた時期がある。

◆乱射事件が起きるたびに、銃規制の声が高まる。しかし規制は進まない。トランプ大統領も消極的だ。自らは自らで守る建国の歴史、自由の国であるがゆえに”病める国”とは皮肉なものだ。

悩みのLiberty

<2018.9.3   S>