再発令下 負けるな新成人

 新型コロナウイルス感染拡大が止まらず、東京など1都3県の首都圏に緊急事態宣言が再発令された(7日)。その2日後には大阪、兵庫、京都の関西2府1県も政府に要請した。
 幅広く自粛要請した昨年4月の発出時と違い、今回は夜の飲食店”ピンポイント作戦”。医療機関崩壊危機の中、感染封じ込めと経済維持のバランス判断と言えるが…特措法改正も急がなければならない。

◆歴史上稀にみる厳しい状況下、11日は成人の日。
 1948年(昭和23年)の祝日法で「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」ことを趣旨としている。例年、豪雪や帰省しやすい時期を考慮して大型連休中やお盆の時期に行われる地方も多い。
 2021年(令和3年)の新成人人口は124万人(総務省)。前年比約2万人増だが、総人口に占める割合は11年連続で1%を下回った。

◆関西でも大阪市などを始め、全国で成人式、集いの延期が相次いだ。東大阪市では屋外の近鉄花園ラグビー場で、兵庫県西宮市は阪神甲子園球場で、またオンラインなどで行われた自治体もあったが、例年とは”一変”した。式の後、マスクを外し騒ぐ”荒れた”所もあったが…。
 久しぶりの旧友との再会、ずっと楽しみにしてきた晴れ着… 出席できないようなことがあっても中止になったとしても、堂々と大切な今をそれぞれの想いをかみしめてほしい…1人だけではない、決意と感謝の誓い。親はもちろん大人たちにとっても、20歳の揚々たる前途にエールを送り祈る日だから。

◆白血病と闘い、 新成人となった競泳の池江璃花子選手「悔しい思いをしたり、気持ちが落ち込んだりすることもありました。そんな時こそ、目標を忘れず失わない…それが一歩前に進ませ、大きくしてくれるものだと思います」。
 ゲーテ「自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる」。

可能性は無限   祝20歳
<2021.1.11 S>

*令和3年おめでとうございます。報道コラム「ニュースキャプテン 喜怒哀楽」は、変わらずに人を出来事を見つめ伝えていきます(原則月曜・不定期)。S

令和2年 「哀楽」

 人類への警鐘か、コロナ禍に揺れた地球。子年も今日一日。豪雨災害、許せない不祥事・事件、亡くなった方々、そして若者たちの快挙、スポーツの力…喜怒哀楽があった1年。

◆哀◆
【時代の人 突然の訃報】

 志村けんさん70歳が3月、岡江久美子さん63歳が4月に新型コロナウイルス感染で死去。
 岡江さんは女優、タレントとして茶の間の人気者で屈託ない品のある笑顔。乳がん治療中だった。筆者と同世代でもあり、突然の訃報にショックを受けた。
 志村さんはドリフターズの一員、誰しも一度は観ただろう「8時だョ!全員集合」。情報氾濫の現代と違う1969年〜の驚異的視聴率番組だった。志村さんの死が、日本国民のコロナに対する認識のターニングポイントになったのではないか。これからの世を「だいじょうぶだぁ」と言ってほしい。

 プロ野球界も寂しい。
 1月に高木守道さん78歳。中日一筋、バックトスを生み出したいぶし銀のセカンド。ドラゴンズファンの筆者にとっては、中日球場で観戦の子供の頃から憧れの選手だった。
 2月に野村克也さん84歳。阪神、楽天を率いた名監督。だが、大阪球場での南海のユニホーム姿が懐かしい。王、長嶋に比べ自ら月見草と呼んだ。ノムさん!これからの球界にもボヤいてほしかった。

 今が絶頂とも言える俳優、三浦春馬さん30歳が7月、竹内結子さん40歳が9月に自ら命を絶った。驚きと、時とともに重く…だがスクリーンで生き続ける。
 西部警察、浮浪雲の名優・渡哲也さん78歳(8月)。静かな中に凛とした男気、時に飄々と…時代を走り続けた石原軍団は”解散”する。
 映画監督・大林宣彦さん82歳(4月)。時をかける少女、青春デンデケデケデケ…あまたの作品の中、「22歳の別れ」は還暦世代には忘れられない。

 筒美京平さん80歳が10月、中村泰士さん81歳、なかにし礼さん82歳が12月に次々に逝った。手掛けた歌に皆胸を打たれ躍らせた。情景まで浮かんでくる、忘れられない時代の歌だ。背中を押してもらった。

◆楽◆
【勇気の走り 全日本大学駅伝】

 歴史に残る名レースだった。全日本大学駅伝(熱田神宮ー伊勢神宮)は、駒沢大学が青山学院大(4位)東海大(2位)などをおさえ優勝(11月1日)。
 コロナ禍からか、5時間以上テレビにかじりついた。全7区間のうち4区間で新記録、最終区アンカーまでスリリングなレースだった。

 箱根駅伝、出雲駅伝と並ぶ3大駅伝の一つ。今大会は開催自体危ぶまれた。しかし自治体も含め関係者は、無理だと思う前にどういうことならできるのか、と制限下に前に進めた。沿道に大声援はなかったが、タスキを繋ぐ選手に例年と違う感動があった。
 アンカーでデッドヒートを制した駒沢大の田沢選手は、インタビューで「まず、この大会を開いて下さった方々にお礼…」と、感謝を口にした。

 重く先の見えないコロナ禍。無観客試合、または観客を大幅に減らしてのプロ野球、大相撲。目だけでなく、音の迫力など新鮮な発見があり、スポーツの一つの指針となった1年。何より熱く、観戦の楽しさを改めて感じた…スポーツの力!

<2020大晦日  S>
*人を出来事を見つめ報道コラム「喜怒哀楽」は137回目。コロナ禍に揺れた令和2年、来年の漢字は「幸」といきたいものです…この1年に感謝し、引き続きよろしくお願いいたします。S

令和2年 「喜怒」

 人類への警鐘か、コロナ禍に揺れた地球。子年が終わる。豪雨災害、許せない不祥事・事件、亡くなった方々、そして若者たちの快挙、スポーツの力…喜怒哀楽があった1年。

◆喜◆
【藤井聡太2冠「盤上の不変」】

 将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(17)が7月、「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)を制し棋聖位を獲得。8月には「第61期王位戦七番勝負」(新聞3社連合主催)でもタイトル奪取。18歳1カ月での2冠と八段昇段は最年少記録。
 奈良・興福寺旧境内で11 世紀中頃の日本最古の駒が見つかっていて、平安時代から”将棋”は指されていた⁈
 日本人男性で一度も将棋を指したことのない人は少ないのでは…81マスを動く王将、飛車、金将、桂馬、歩兵などそれぞれの好守。盤上は美しく、さながら戦国時代の陣も思い起こさせる。
 今の将棋界もAI(人工知能)時代と言われる。藤井2冠は棋聖位獲得時に「AIは対決を超えた共存の時代。今の時代でも盤上の価値は不変、そういう価値を伝えていけたらと思う」。17歳にして深い言。
 残念ながら、日本で独自の成長を遂げてきた将棋人口は漸減が続く。国際的にほぼルールが統一されてきた囲碁に比べ、駒が漢字で書かれていることなども国外普及の妨げとも言われるが…だからこそ日本の心が投影され、魅力的勝負が展開される。それがまたいいじゃないか。

◆怒◆
【「めぐみ会いたい」横田滋さん死去】

 拉致被害者家族会の初代代表、横田滋さんが6月に亡くなった。87歳。
 1977年(昭和52年)に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父で、妻の早紀江さん(84)と全国で講演し被害者奪還を訴え続けた救出運動の象徴的存在。半生かけた「めぐみに会いたい」…かなわず、悔しく腹立たしい。
 1980年(昭和55年)、産経新聞・阿部雅美記者がスクープした拉致被害者報道。国内ではしばらく取り上げられる事もなく、小泉政権時代、2002年(平成14年)ようやく帰国した蓮池薫さん(62)らは、筆者と同年代だ。
 拉致は紛れもなく国家犯罪だ。
 遅い、遅すぎる。拉致問題に力を入れてきた安倍自民党政権でさえ…被害者の奪還、遅々として進まない国家間の現代の壁。結果こそ、政治力とは何なんだ!
 父滋さん、母早紀江さん、娘めぐみさんらが家族を思い祖国を思い続けて42年。魂の訴え、その思いに寄り添えない現実…滋さんは父として無念だろうが、娘を取り戻す事、拉致被害者を救い出す事に尽くし切った見事な生涯だった。

 信念と絆の大切さ。そして諦めず、また前を見る…人には必ず、その力があるはずだ。
<2020.12.28  S>

*報道コラム「ニュース喜怒哀楽」を振り返ります。今週の続き「令和2年 哀楽」は大晦日に伝えます。S

漢字 「密」に勝る「笑」

 年末の一つの風物詩、世相を漢字一字で表す「今年の漢字」が、京都・清水寺で「密」と発表された(14日)。新型コロナウイルスに苦しんだ1年、「3密」に揺れた国民の心が反映されたといえる。
 日本漢字能力検定協会が毎年公募し26回目。2位に「禍」、3位は「病」が続いた。4位「新」、5位「変」、6位「家」、7位「滅」、8位「菌」、9位「鬼」、10位「疫」。
 揮毫した森清範貫主(かんす)は「密は心のつながりも表す。コロナ禍で国民や医療従事者が苦労している中、いい年になるよう祈念して書きました」。

◆政界も揺れた1年。
 「今年の漢字は『働』という字です」…安倍晋三前首相の辞任で8月に誕生した菅義偉首相。「国民のために働く内閣、こう銘打っている」と説明した。
 11月の都構想再挑戦も否決。吉村洋文大阪府知事は「2つ、頭の中にある」と「病」「疫」を挙げた。「どちらかということなら、疫ではないか。あまり前向きな漢字でないので選びたくないが、率直に振り返ったらそう」。

 すべての人に、それぞれ”今年の漢字”がある。そして踏ん張ってきた。

◆ 興味深いのが、小学生が選ぶ「今年の漢字」。トップ3は「笑」「幸」「新」だという。ベネッセホールディングスが小学3年生~6年生7,661人の調査結果を発表した。

 1位の「笑」は284票で「コロナでも笑顔で頑張れた」「家族や友達といっぱい笑った」などが理由に。2位は「幸」250票、「学校に行ける幸せ感じた」「家族と過ごす時間が幸せ」。3位は「新」178票で「コロナで新しい生活」「新しい世界や楽しみを味わった」などだった。4位「嬉」、5位「悲」、6位「友」、7位「苦」、8位「恋」、9位「心」、10位「鬼」。
 新型コロナウイルス禍で生活変化の連続にかかわらず、トップ3すべてポジティブで前向きな漢字に驚いた…変化を新しい経験として、楽しみや幸せを見つける。家族や友達と充実した日々を送っていた事がうかがえる。

 また憧れる人の調査で1位に「鬼滅の刃」の主人公「竈門炭治郎」(618票)、2位に「お母さん」(393票)が選ばれた。共通点は「優しい」「家族のため頑張っている」だという。 

 参った!やるなぁ!子供たち。ポジティブ漢字、憧れるお母さん…嬉しいじゃないか!大人たちも、見習いたい。

苦の中こそ 前向き心
<2020.12.23 S>
*コロナ禍に揺れた令和2年もあとわずか。報道コラム「喜怒哀楽」は、変わらずに人を出来事を見つめていきます。S

「天外者」 志を継いだ


先の見えないコロナ禍、鬼滅の刃が記録的興行収入を上げる中、久しぶりに映画を観た。「天外者(てんがらもん)」。市民有志が立ち上げた「五代友厚プロジェクト」が7年かけて悲願の映画化、脚本・小松江里子×監督・田中光敏。12月11日全国ロードショー。

◆「週末ワイド ラジオ産経」の番組コーナー「サンスポよもやま話」で、田中光敏監督(62)の興味深い話が聞けた。ベテラン笹井弘順記者との”対談”。
田中監督は、五代友厚についてまず「武士を捨てて民に下る。切腹ものの当時、既成概念をものともせずぶっ壊していく気迫、凄さ」と、静かに語った。

◆五代役に今は亡き三浦春馬、大きく絡む坂本龍馬役に三浦翔平、岩崎弥太郎役に西川貴教…オリジナルストーリーの中に、それぞれが織りなす志と姿が熱い。
台詞、シーンもまたいい。
贈られたかんざしを手に女郎はる(森川葵)「何一つ自由になってないけど、貴方といるとこんな私でも生きていける。夢を見れそうな気がする」。
五代(三浦)「夢を見たらいい。そんな世に俺がしてやる」。
妻豊子(蓮佛美沙子)「ほんまにあなたは天外者や」。大阪の町にはるかに続く提灯…泣けた。


◆田中監督は、三浦春馬のことを、温かく寂しそうに語った。
「きれいな大人になった。受けてもらってよかった。見た目も美しいが心も美しい、ほんといい奴」。
「(死去の報に)震えた、今も立ち直れない。無念、彼に完成を観せられなかった…一番悔しいのは彼」。
「他界したんですが、スクリーンの中で最高の仲間と最高の芝居をしてくれている」。

◆「誰もが夢みるこができる国を創るために…」身もいらぬ、名もいらぬ、ただ未来へと、五代友厚がめざした新しい時代。
コロナ禍で依然先の見えない、新しい生活が求められる令和時代。まさに当てはまる。
田中監督は変わらぬものを見つめ、変わる…その志を伝えつなぎたかった⁈

できるならば、50歳、60歳の三浦春馬が観たかった。

志 未来に生きて
<2020.12.7 S>

*厳しいコロナ禍の年もあと1ヵ月を切りました。変わらずに人を出来事を見つめ、喜怒哀楽を伝えていきたいと思います(原則月曜・不定期)。

力くれた 3つの”戦い”


◆夢競馬 アーモンド有終V

 史上初めて3冠馬3頭が集結した世紀の一戦、第40回ジャパンC(G1・東京競馬場・芝2400メートル=良)は、クリストフ・ルメール騎手騎乗の1番人気アーモンドアイ(牝5歳・国枝栄厩舎)がラストランを飾った。G1 9勝目。2着に2番人気のコントレイル(福永祐一騎手)、3着は3番人気のデアリングタクト(松山弘平騎手)。穴党には面白くないが、まさに競馬ロマンの結果となった。
 優勝賞金3億円。これで総獲得賞金が19億円1202万9900円となり、歴代1位のキタサンブラック(18億7684万3000円)を抜きトップになった。コロナ禍にかかわらず、インターネット投票がほぼ7割を占める売り上げは前年比47.5%増の272億7433万4600円、2000年以降で最高額を記録した。

 競馬は血の戦いとも言われる。シンボリルドルフ、トウカイテーオー、ディープインパクト、オルフェーブル…牝馬アーモンドアイも記録とともに、記憶にも残る名馬となった。今年の年度代表馬はアーモンドアイで決まりだろう。しかし完調でないと言われた無敗の牡馬3冠コントレイルは外から一気に最速の足を繰り出し、無敗の牝馬3冠デアリングタクトもハナ差3着争いを死守する根性を見せた。3冠を獲って年度代表馬に選ばれないだろうこの2頭が、やや気の毒でもある。

 ルメール騎手「アーモンドアイのストーリーは終わっていない。いい子供をつくってくれたら乗りたい。ちょっと寂しくなるけど、感謝したいです」…その子たちよ!凱旋門賞を獲れ。


◆タイソン 54歳の”復活”

 元ボクシング世界ヘビー級王者で54歳のマイク・タイソンが、米ロサンゼルスで世界4階級制覇した51歳のロイ・ジョーンズとエキシビションマッチを行い、かつての勇者を彷彿させた。
 1ラウンド2分の8ラウンドマッチ。結果はドロー(引き分け)だったが、2005年の試合を最後に”引退”していたタイソンは強烈で重いパンチと手数で圧倒。45キロを減量した肉体、年齢を感じさせない俊敏な動きを見せた。

 タイソンと言えば、現役時は荒々しい動物的ボクシング、時に相手の耳に噛みついたことさえあった。そんなタイソンも開口一番「相手にKOされなかったのでよかった」と謙虚なコメント。そして「8ラウンドも彼とあの場に立てて幸せだった。だからスコアカードも無観客も、私にとって意味のないものだった」と満足気に淡々と話した…リングの雄姿!歳は関係ない。


◆日大帰ってきた大舞台

 アメリカンフットボールの関東大学1部「TOP8」の優勝決定戦が行われた。2018年春に悪質タックル問題を起こしTOP8に3季ぶりに復帰した日大が、今季初昇格の桜美林大を38―14で破って優勝。3年ぶりの東西大学王座決定戦・甲子園ボウル(12月13日)に出場し、因縁の関西代表・関西学院大と対戦する。

 3タッチダウンを決めた川上理宇選手「回り道をしたが、あの事件があったことで以前のようにコーチが作るチームではなく、自分たちが作るチームとしてひとまわり強くなれた」。
 悪質タックル問題後に、指揮をとってきた橋詰功監督は「タックルの問題に加え、新型コロナウイルスもあったが逆境を打開する力が選手についた…チームが生まれ変わったかどうかはまだわからないが、スタートラインには立てたと思う。ここから新たな準備をして戦っていきたい」と静かに語った…挫折立ち上がる!胸を張れ。

 ここまで来るのに、それぞれの汗と涙、関わった人たちの思いがあった…こんな時だから、スポーツに力をもらう。
<2020.11.30 S>

*厳しいコロナ禍の1年もあと1ヵ月。変わらず人を出来事を見つめ、喜怒哀楽を伝えていきたいと思います(原則月曜・不定期)。

球児の直球 甲子園映え

 プロ野球阪神の藤川球児投手(40)が、甲子園球場で最後のマウンドに上がった(10日)。巨人との引退試合の九回に登板し全直球勝負。22年間の現役を終えた。

◆「ホップする」「直球と分かっていても打てない」「バットがボールの下で空を切る」。数々の強打者たちに言わしめた剛速球。米大リーグ時代と合わせて日米通算245セーブ、あと5つで大台250セーブだった。
 1999年にドラフト1位で阪神に入団し「松坂世代」の一人。2005年リーグ優勝に貢献、07、11年に最多セーブのタイトル獲得。13年から米大リーグ・カブスなどでプレーした後、「子どもたちに夢を」と独立リーグの四国アイランドリーグplus高知に…故郷の地に戻り勇姿を見せたのは、感謝の思いがあったのだろうか。そして16年から再び縦ジマのユニフォームを着た。

 野球はチームプレーだ。とともにプロは、個人技の集合体でもある。全身全霊の跳ねるような投球は個性あふれ、強打者との真剣勝負は見る者をワクワクさせ、プロの魅力十分だった。

◆新型コロナ禍に、盛大な阪神球団セレモニーとなった。リンドバーグ渡瀬マキさんがサプライズ登場、家族からの花束、対戦選手からのビデオメッセージ…不祥事で、表舞台に出ていない清原和博元選手の声も。そして締めは、バッテリーを組んできた矢野監督(51)へ投げ込む”最後の一球”になった。2010年9月30日、矢野捕手(現監督)の引退試合。最終回2死から登場予定だった矢野捕手。しかし藤川投手が逆転3ランを浴び、引退試合なのに矢野捕手出場なし…やっと”10年越しのバッテリー”となった。

 特別な選手を裏付けた演出。それだけにふと思ってしまった、今季で縦ジマのユニフォームを脱ぐ能見投手(41)や福留選手(43)らを。引退ではないとは言え、阪神に残り先々の指導者をにらんだ道もなかったか? 今の阪神ベンチは中日OBや⁉とも囁かれたり…あまりに冷たくないか球団よ。

◆最後のマウンド上。藤川投手に涙はなく、終始さわやかな笑顔で語った。
「僕のストレートには甲子園の大応援団のみなさん、全国のタイガースファンの熱い思いが詰まっています。それが火の玉ストレート。打たれるはずがありません!」。
 何か気恥ずかしくなるような、今の時代ダサいと言われそうな言葉。だが、一筋に来たからその”直球言葉”がよく似合っていた…「幸せな時間でした」。

真っ直ぐ 次の舞台 
<2020.11.16 S>

バイデン氏”勝利” 揺れる米

 米大統領選投開票から4日、ようやく民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が勝利宣言した。国民に向けた演説で「確信できる勝利だ。国民は7400万以上の票をもって当選させてくれた」「選挙戦は終わった」。
 国際社会の”信任”の証、海外首脳から祝意。菅義偉首相も「心よりお祝い申し上げる。日米同盟をさらに強固なものにするために共に…」とツイッターで表明した(8日)。
 
◆トランプ大統領は、アメリカファーストを掲げて雇用を促進し経済を押し上げた功績と裏腹に、「分断」という闇も拡大させた。新型コロナウイルスに疲弊したアメリカ国民・国家、黒人暴行死もあり、一種癒やしを求める気持ちが勝ったということか。
 トランプ大統領は敗北を認めず、民主党の投票不正を訴え法廷闘争の構えを崩していない。来年1月20日の第46代米大統領就任式までに、衝突や暴徒化が起きないことを望む。

◆勝利を確実にしたバイデン氏の好物はアイスクリーム。政治家として特徴のなさに、揶揄されるあだ名でもある。米の大メディアは公正というより政治参加者、民主党派であり反トランプ…偏った報道、情報操作が皆無だったとも言えない。
 国民は、よく言えば長老政治家ゆえのバランス感覚のバイデン氏に”普通”を求めた⁈ ただ世界のトップを走り続け、かつ人種のるつぼのアメリカ。バランスだけではまとめられない”腕力”も求められる。
 
 77歳と74歳の戦いはひとまずの決着はついたが、両陣営の副大統領候補・ハリス氏(56)、ペンス氏(61)が、今後はUSA大統領候補に相応しい年齢ではないか。

◆次期大統領には、再び増え出したコロナ対策、国内融和、対中外交…強い国の宿命アメリカ、内外に課題は山積している。

 バイデン氏は「アメリカは一つ」「分断ではなく統合を追い求める大統領になることを誓う」と語った。アメリカの分断は世界にとって危険で不幸だ。これで終わりでなく、さらに一層分断の4年になることを危惧する声もある。真の民主主義と自由の国へ。

世界牽引 アメリカの先
<2020.11.9 S>

未来の大阪 再び否決


 大阪市を廃止し4つの特別区(淀川・北・中央・天王寺)に再編する「都構想」の住民投票は、11月1日実施され否決された。賛成675829票(49.37%)・反対692996票(50.63%)で、2015年(平成27年)以来2度目の今回も僅差。投票率は 62.35%、前回を下回った。

◆賛成派の中心、大阪維新の会代表・松井一郎大阪市長は記者会見で「任期終了後に政界家としては終了(引退)する。だが改革はつないでほしい…」。代表代行・吉村洋文大阪府知事は「任期を全うする。しかし、僕自身が挑戦することはありません…」と、政治家としてのケジメを語った。

 選挙で最も重要で強い民意は、都構想反対を示した。”なり振り構わず”公明党も巻き込んでの敗北。だが、今のままでは…と改革の灯をつけ、何よりも政治を市民の身近にまで持ってきた維新の会は評価されるべきだ。
 
◆新聞やテレビは、選挙のとき出口調査を行う。賛成派の中心・維新の政治運営を評価している人のうち、都構想には3割もの人が反対という調査もあった。10代〜40代は賛成が多数、60代以上は反対多数。また無党派層の6割が反対した。

 維新人気は根強かったが、説明不足で市民理解に届かなかった、地名の馴染みや歴史の重み…そして多くの市民が苦しい時の選挙戦、コロナ禍が多様に影響したことも否めない。
 
◆ 素晴らしい日本、大阪。「少子高齢時代」が確実に進む将来。行政改革、働き方改革、器に応じた自治体が求められる。変えてはあかんもの、変わらなあかんもの…先を見つめていく、特に若い世代こそ。
 
 ひとまずはノーサイドだが、市民の声は賛成・反対二分された。これで終わりではない。賛成派も反対派も、形はどうあれ未来の大阪へどうするか、これからも一層政治の力が問われる。そして市民も。

新たな時代 見つめて
<2020.11.2 S>
*報道コラム「喜怒哀楽」は、人を出来事を変わらず見つめていきます(原則毎週月曜・不定期)。

淡路島本社 パソナの挑戦

 兵庫県立淡路島公園に、全長約120mの実物大「ゴジラ」が登場した… そのテーマパーク「ニジゲンノモリ」を運営する親会社・人材派遣大手のパソナグループが、本社機能を淡路島に移転すると発表した。令和5年度末までに社員約1200人を東京本社などから異動・移住させ、経営会議も開催するなど本社化する方針。淡路島では10月1日、来春入社予定の約120が出席し内定式も行われた。
 創業者の南部靖之代表(68)は「コロナが決定づけた」と話した。

◆新型コロナウイルス拡大の中、多くの企業が遠隔で仕事をするリモートワークや、通勤ラッシュを避けた「働き方改革」を余儀なくされた。
 すでに淡路島で執務するパソナの南部代表は神戸市出身、東京一極集中の現状に疑念を抱いてきたという。「会社に行かなくても仕事ができる」改革を軸に社内議論を進め、物価や高い賃料の東京から地方へ本社機能を移しても支障ない、と決断した。

◆ パソナは「道の駅」など地方創生に力を入れ、2008年から就農支援、17年に「ニジゲンノモリ」、今年は劇場・レストラン「青海波」を開業した。各施設が連なり利用率を高め、就業者数アップの相乗効果も視野にある。本社を地方・山口市に置くファーストリテイリングなどはあるが、東京本社を逆に地方移転する企業は異例。
 地方が拠点だと情報収集や人材確保など不利と言われ、日本全体の人口減が続いても東京中心に首都圏人口は増え続けている。逆に地方はどんどん寂しく高齢化が進むという流れ…上場企業約3600社の5割が狭い東京に本社を置いているように、”仕事の数”の格差も改善されない。
 企業の地方移転に対し、政府が2015年に導入した法人税優遇もわずか100件余りにとどまり、目標の50分の1にも満たない。

◆いずれ起きるといわれる首都直下地震などの大災害リスクが言われて久しい。
 衣食住も含め、地方の暮らしに魅力を感じる人も増えて来ている。自治体の移住支援もようやく多様になりつつあり、47都道府県にさらなる”地方拠点”がほしい。何も企業だけでなく大農営場でもいい。
 リモートワークという点が最重要でなく、何より地方に働く場を増やす政策だ…コロナ禍で分かった今こそ、国・企業が一体となり全力で進めるべきだ。

◆製造業でなく人材派遣業のパソナに「雇用創出は未知数」や「早い撤退」を懸念する声もある。今こそ政府、自治体の支援は欠かせず、歴史的に重要な時だ。
 最大の課題、少子高齢化に有効策を打ち出せていない日本。一極集中はもういい、地方創生こそが最大の打開策だ…パソナの挑戦が”呼び水”になることを願う。

目覚めよ! 地方の力 
<2020.10.26 S>