”見えない闘い” 長くても

 長い新型コロナウイルス禍。大阪、東京など3度目の緊急事態宣言下のGWがスタートした。関西、関東ではステイホームを訴える背水の抑制策の一方、帰省や近隣への旅行は多い。大都市での空や新幹線の予約は、昨年の数倍に増えた。街中にPCR検査で行列もでき、「人流を止める」の形も変わってきた。

◆目前に迫る東京五輪・パラリンピック。4月中に観客上限を決定するとしていたが、5者協議は6月に先送りした。ワクチン接種、来日選手や関係者への検査、”行動制限”するなど強い対策をとる。世界最高峰のスポーツ大会の形で、平和の祭典として開催へ…待ったなし!人類の英知を傾けてあたらなければならない。

◆緊急事態宣言の最中、3年前に世間を騒がせた事件が急展開した。「紀州のドン・ファン」事件=和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77)急死。殺人と覚醒剤取締法違反の疑いで元妻・須藤早貴容疑者(25)が逮捕された。
 謎はなお多いが、コロナ禍でも捜査を重ねてきた和歌山県警の意地が垣間見られる。

◆ 日本の現法下、いま最大限に近い対策と言えるが、油断すると大都市”ロックダウン”になるかもしれない“覚悟”も…その一方で、厳しい中小企業や飲食店などに休業・補償をセットで、日々生活に事欠く人には一層のピンポイント支援。きめ細かく”弱者”に寄り添う、それが国の政治力の使命。
 先進国の中で遅いワクチン接種、一刻も早い国内開発も待たれる。経済力があっても、総合的な国力は大丈夫なのか⁈ 改めて”闘い”は長いと自覚し、正念場の今向き合う。

命 次へつなぐため
<2021.4.30 S>

*人を事実を見つめてきた報道コラム「喜怒哀楽」は、今日4月30日をもって最終回となります。3年間に約150回、振り返ると”その時”が見える…そうあれば幸いです。そして少しでも前へ。ありがとうございました。Newsキャプテン S

通天閣も泣いていた

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い東京、大阪、兵庫、京都の4都府県が、3度目の緊急事態宣言下に入った(25日)。 
 早々と休業を決めた大阪のシンボル通天閣は閑散、USJからも人が消えた。百貨店や商業施設、大阪発祥の焼き鳥チェーン鳥貴族など外食産業も営業をストップ。飲食店は時短に加え酒類提供を控える。また関西のJR、私鉄も運行本数を減らしたり最終電車の前倒しとなった。

◆1年余りのコロナウイルスとの闘い。人類、政府、国民も学んできて対処方法も少しずつ進んでいる。だがウイルス変異株など新たな敵が追いかけるように襲ってくる。
 何より人の心が変異…緩みを超えた疲弊の思い。とりわけ若い世代、”外飲み”に移行するのも分からないではない。それは政府の指示要請が不明瞭で、国民のメンタルを読めず後手!? 現場の自治体ともっと連携し権限を持たせるべきだ。

◆日本の医療の”不可思議”もある。
 欧米に比べれば、感染者数はひと桁少ない。1人当たり病床数は世界で最も多く、医師の数も米国とは変わらない。なのに医療崩壊が叫ばれ、ここまで3度も同じ事を繰り返してきた。
 人口に比例し大都市の重症患者が多く、大阪府は重症者が病床数を上回る医療逼迫。ところが鳥取県、島根県、広島県、山口県は確保病床数があっても、重症患者はほとんどゼロ。ヘリコプターで患者を隣県に運んだり、逆に医師や看護師、機材が他県から来てもいい。ところが、そんな協力行動は聞かない。

 日本の医療提供は、国が管理するのではなく各病院の自由。ただ病院同士の競争など様々な点も…非常事態にいわば”医療融通”が利かないシステムだ。この有事にいいわけがない。ならば日本医師会が具体的に主導するべきではないか。

◆有事だからこそ見えてくる事もある。有事だからこそ政治が問われる、そして国民も。この警鐘・教訓を未来に生かさなければ…経済優先で進歩してきた人類、新しい社会変革のチャンスであり正念場。どう次へつないで行くのか。

止まる勇気 人類の未来
<2021.4.27 S>

グリーンジャケット 85年目の悲願

 パトロンと呼ばれる観客は新型コロナウイルス対策のため入場を制限されたが、米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGCに歓声が帰ってきた…男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで松山英樹(29)が優勝した(11日)。4大大会を日本の男子選手が制するのは史上初、アジア選手としても初。日本勢が初めてマスターズの舞台を踏んだのは1936年(第3回大会)だから85年目の悲願…日本人のグリーンジャケット姿だ。
 米ホワイトハウスで行われた日米首脳共同会見でも、バイデン大統領から菅義偉首相へ祝福の言葉が出るほどの快挙だった。

◆松山は記者会見で「(開幕前日の練習が終わってから)『いけるんじゃないか』と思えた。それが何か僕自身は分かっていないが、そういう気持ちになったのが大きかった」。
 日本の男子ゴルフ界を牽引してきた中嶋常幸プロ(66)はテレビ解説で思わず涙、いや号泣に近かった。

 もう一つ感動の話があった。早藤将太キャディー(27)が18番カップのピンを戻した後、帽子を取ってコースに一礼したシーン。米スポーツ専門局「ESPN」の動画に、「日本人はとても威厳があり、敬意を表する人々だ」「名誉と尊厳は日本文化に根付いている」と称賛のコメントが相次いだ。

◆ゴルフ最高峰の4大大会。ちなみに優勝賞金はマスターズが最も低い(それでも2億円以上)が、やはり世界のゴルファーが最も憧れるのもマスターズの優勝、グリーンジャケットだ。優勝者には生涯出場権も与えられる…これもまたジェントルマンスポーツ、粋な制度だ。

 大会を主催したオーガスタ・ナショナルGCは、地域の当局とパートナーシップを締結、ワクチン接種の会場や土地を提供し支援してきた。そんな取り組みが地域住民の理解を得ることにもつながっている…大いに参考にしたい。

 新型コロナウイルス禍1年以上、新しい生活や新たな時代と言われる。国内ではプロ野球やJリーグ、ラグビー、水泳など試行錯誤を重ねながらシーズンが進められている。
 あと100日を切った東京五輪開催。経済を超えた人類の英知で、観客数にかかわらず…松山快挙のような感動を、数々の五輪競技でも。

新たな五輪 世界へ
<2021.4.19   S>

2人の意気 未来へ一歩

◆白血病から復帰した競泳女子の池江璃花子(20)が4日、五輪代表選考を兼ねた日本選手権で女子100メートルバタフライ決勝を57秒77で制し、東京五輪代表に内定した。400メートルメドレーリレーの派遣標準記録57秒92を突破、五輪切符をつかんだ。
 ゴールして、珍しく水面をたたきガッツポーズ、ゴーグルを外した瞳には涙があふれた…しばらくプールから上がれず、プールサイドでは声を上げて泣いた。

 復帰初戦となった昨夏の東京都特別大会。痛々しくさえ見える、細くきゃしゃな体を見て、誰がこの結果を予想できただろう。
 「(レース前には)何番でも、ここにいることを幸せに感じよう」と、泳げる喜びをかみしめた。そしてレース後に「どんなに辛くてもしんどくても、努力は必ず報われるんだなあと思った」。

 何があっても諦めない、勇気。

◆ 柔道の世界選手権(6月)代表最終選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権男子60キロ級。3月24日に53歳で死去した「平成の三四郎」古賀稔彦さんの次男、古賀玄暉(22)が初優勝を飾った。
 ヨーロッパのポイント制柔道が台頭してきた時代、一本背負いで「一本」にこだわった父。決勝は竪山将に延長の末、合わせ技一本だった。


 
 インタビューで「何も恩返しできずに亡くなってしまった。何としても優勝したい気持ちでした」と涙…「いつも試合の合間に父が連絡をくれていて、それがないのが寂しかった。でも、今まで以上に覚悟は強くなっていたので、最後まで戦うことができました」と語った。

 恩返し柔の道、背負っていく。

<2021.4.5 S>

諦めない 甲子園の春

球音が帰ってきた!第93回選抜高校野球大会が2年ぶりに甲子園球場で開幕した(19日)。
新型コロナウイルス禍、開会式行進は初日出場の6校だけ、残り26校は大型ビジョン映像で参加した。選手らはPCR検査、入場者数上限を1万人、アルプススタンドのブラスバンド演奏や大声での応援は禁止された。それでも一生懸命に拍手、事前録音のバンド応援などでプレーを盛り立てた。

◆東日本大震災から10年、被災地・仙台育英(宮城)の島貫丞(じょう)主将が、力強く選手宣誓した=以下抜粋。
「…この一年、は日本や世界中に多くの困難があり、それぞれが大切な多くのことを失いました。答えのない悲しみを受け入れることは、苦しくてつらいことでした。…当たり前だと思う日常は誰かの努力や協力で、成り立っているということです。
感謝。ありがとうございます。これは出場校全ての選手、全国の高校球児の思いです。
感動。喜びを分かち合える仲間とともに、甲子園で野球ができることに感動しています。
希望。失った過去を未来に求めて希望を語り、実現する世の中に。

そして、この3月で東日本大震災から10年となりました。日本、世界中に多くの協力や支援をいただき、仲間に支えられながら困難を乗り越え、10年前、あの日見た光景から想像できないほど希望の未来、復興が進んでいます。これからの10年、私たちが新しい希望の力になれるように、歩み続けます。
2年分の甲子園。一投一打に多くの思いを込めてプレーすることを誓います。」

◆”闘い”はまだ続いている。去年の自殺者が11年ぶりに増加、特に女性や子どもたちで深刻だ。失業者も増え続ける状況。経済が厳しい仕方ないではなく、今だからこそ寄り添う心、命を守り救う…それを最優先にする社会でなくてはならない。

10年前、東日本大震災の年に足を運んだ、炎天の夏の甲子園が忘れられない。バックネット裏のスコアボード上には横断幕があった。「がんばろう!日本」。

未来へ 特別の春
<2021.3.22 S>

3.11から10年 誰かのために

 自室の押し入れを探した、10年前の3月12日付新聞。
 2011年3月11日、東日本大震災。筆者は当時、単身赴任で産経新聞東京本社編集局次長として朝刊づくりの準備に入っていた…忘れられない、忘れたい記憶。

◆午後2時46分、産経新聞東京本社の編集局。突き上げるような、突然大きな揺れが来た。初めて命の危険を感じ、階段近くにいたため必死に駆け下りた。外に出て数分、再び編集局へ…全エレベーターは停止、スプリンクラーから滴り落ちる水、まだギシギシと不気味な音が響く階段、上り降りする社員をかき分け12階まで上った。

 「号外だ!」「新聞を作り届けるんだ!」怒号の中、十数分で「列島激震」大見出しの号外を作り上げ、すぐ朝刊本体の作成。騒然とした編集局、何度も来る余震の恐怖の中での紙面づくり。目が血走った記者たちが刻々と変わる状況を追う。ようやく少し落ち着きが出てきた午前2時過ぎ、「福島第1原発で爆発、放射性物質漏れ」の一報。瞬時に判断、1面に短め記事だが大見出しを突っ込んだ。
 何としても伝えるんだ!読者に、そして誰かのために…記者たちが眠りについたのは午前3時を回った。翌日から通常と違う紙面づくり、”長い闘い”が続いた。

◆東北の被災地に比べものにならないが、大都会東京も”もう一つの被災地”だった。
 コンビニなど生活品不足、交通網寸断で帰宅難民。時折鳴り響く余震の緊急地震速報。電力不足に陥り、あわや首都ブラックアウト(全域停電)の危機に怯えた。節電のため、地下鉄までが1ヵ月は薄暗かったはずだ…「普通」の有り難さを知った。

 島国日本、「防災」意識も高まっている。それでもやってくる自然災害。被害を最小化するための準備、避難、地域、連係、耐震、マップ、防壁…「減災」を改めて今、考えたい。

◆3.12から編集局幹部によるコラム特別編「From Editor 3.11大地震」が始まった。書いた何本かの”駄文”の中に、以下がある(抜粋)。
《「昔も今も、また未来においても変わらないことがある。そこに空気と水、それに土などという自然によって生かされてきた。(中略)…人間は助け合って生きているのである」。
 産経新聞記者の大先輩でもある司馬遼太郎さんが、小学校6年生用の国語教科書に書き下ろした「二十一世紀に生きる君たちへ」の一節だ。》
 今年は司馬さんが逝って25年の節目、胸に迫る。

 もう10年、まだ10年。今を生きる我々が、復興を支え抜く思いを新たにする日。

命見つめ つなぐ 
<2021.3.11 S>

宣言解除 スポーツと桜

関西圏など6府県の緊急事態宣言が解除されたが、”手放し”の解除ではない。弥生3月は別れと出会いの季節、かけがえのない時だ…しかし今年はもう一つ、個々が気をつけて動く時。

◆スポーツ界が動き出した。
瀬古利彦や宗兄弟らを輩出したびわ湖毎日マラソン最後のレース(来年から大阪マラソンに統合)が行われ、鈴木健吾(25)が2時間4分56秒の日本新で優勝した(2月28日)。

サッカーJ1がひと足先に先月26日開幕、大相撲三月場所は大阪から国技館に変更し今月14日に初日を迎える。19日にはセンバツ高校野球32校の熱戦が始まり、プロ野球も26日にセ・パ同時開幕する。感染を抑えつつ、観客数に制限はあるが徐々に増加をめざす。

スポーツは踏ん張る力、諦めない勇気をくれる。

その先に、コロナに勝った東京五輪を示したい。だが「勝った」とは一体何を意味するのか…完全な「安全・安心」はない、人知を傾けて少しでも「安全・安心」の形を求める。ただ経済のためだけの五輪はいらない。そして多くの人々が待ち望み、楽しみに感じないなら止めるがいい。

◆3月は桜月(さくらづき)ともいわれる。
多くの花は少しずつしぼみ、枯れていく。桜は決してそんな姿を見せず、一瞬に花びらを舞い散らせて終わり夏に繋ぐ…日本人の死生観。

初ざくら 見つゝもこぼす 涙かな
あこがれの たましひ宿れ 山桜
散る桜 残る桜も 散る桜
家族で、恋人と、一人でも…静かに桜を愛でて命を思う、それもまたいい。

今を生き 春の足音
<2021.3.1 S>

アスリート 橋本五輪会長

 女性蔑視ととれる発言で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が辞任し、橋本聖子新会長(56)が誕生した(18日)。
 橋本新会長は、まさに五輪の申し子。前回東京五輪が行われた1964年生まれ、スケート・自転車競技で冬夏五輪7度出場。森前会長に乞われて政界入りし“父娘”と言われるだけに、後ろに森氏が見え隠れするが…世界の組織委会長と同じ50歳代の新会長。信頼される「安全・安心」な東京五輪成功へ歩んでもらいたい。

◆森前会長の発言には、選手から非難の声、ボランティア辞退。さらにトヨタ自動車やJR東日本…スポンサー側の批判、「彼は去らなければならない」と放映権を握る3大テレビのNBCまで声を上げたことが大きい。頼みのIOCも一転批判声明、内外からの “引導”となった。
 もう一つ、世論にインパクトを与えたが後味がよくなかったのは小池百合子都知事の発言。「4者会談に出席しない」… いわば主催・ホスト側の会議に自ら欠席はあり得ない。秀でた政治嗅覚とも言えるが、他人事の言はいかがなものか。

◆森氏発言は立場上あまりにお粗末。すぐ謝罪撤回したが、何より時代を世界を読み間違えたのは確かだ。一方でこの時期の辞任によるマイナスを”主張”する声がなく、あっても腰砕け⁈ さらに一部メディアが煽り続けた感も否めない。
 
◆開会式まであと約5ヵ月。しかもなお不透明なコロナ禍。どういう形にするのか、矢継ぎ早の決断を迫られる。どうも政治色が目立ち、アスリートが弱い感が拭えない。
 橋本新会長がオリンピアンだからこそ、行える手があるはずだ。経済だけ帳尻が合えばいいではなく、世界最高峰のスポーツ祭典、オリンピック精神をどう繋ぐか。コロナに勝った五輪…至難の業だが、疲れた国民に前を向ける力がほしい。

◆大坂なおみが2度目の優勝を飾った全豪テニスは、準決勝から観客を入れた。当面の試金石としてはセンバツ高校野球、プロ野球…この春のスポーツが注目だ。
 「オールJAPAN」待ったなし。変わらぬものを大切に、変わらなきゃ。

原点へ オリンピック精神
<2021.2.22 S>

つれづれ 喜怒哀楽

◆喜
 白血病から復帰した競泳の池江璃花子選手(20)が、ジャパン・オープン女子50メートル自由形で24秒91で2位に入った。昨年8月の実戦復帰後、初めて表彰台に立った。体重も増え「成長を感じられた…少しずつ上り詰めていきたい」。
 コロナと闘う東京五輪。病と闘う”象徴”として期待されるが、焦らず無理はしないでほしい。20歳、君の五輪はまだまだ先があるんだから。

◆怒
 経済は資本主義社会の根本、大事だ。だがそれだけではあるまい。公のために私を捨てて…ましてや政治家よ、日本人の誇りはどこへ行ってしまったのか。
 国会議員が多勢で酒席、緊急事態宣言の只中に銀座へ。次の選挙では退いてもらわなければ!選挙区民も問われている。

◆哀
 ひょうひょうと生きた旅の画家、安野光雅さんが逝った。94歳。
 「進歩によって失った文化、取り返さねば」…片隅でカレンダー「洛中洛外」が、ふんわりと厳しく語りかけてくれた。

◆楽
 市井の人を描く作家・藤沢周平の作品を読み返している。「蝉しぐれ」「風の果て」…歴史は”勝者”の残したものと言えるが、”敗者”の生き様や幸も深く見つめてくれる。命を繋いで行く意味が静かに伝わる。
 「男はつらいよ」の舞台、老舗料亭「川甚」が230年余の歴史に幕を閉じた。名店が次々と消えていく。寅さんは言っている「たまによ生きてきてよかったなぁ、って思うことがあるだろ!そのために人間生きてんじゃねぇかい」。
 書、映画には励ましの力もある。

諦めない今 春信じて!
<2021.2.8 S>

*コロナ禍の中、この報道コラム「喜怒哀楽」は変わらず人を出来事を見つめていきます。S

前見つめ 2人のエール

■勇気!大阪女子マラソン
 第40回大阪国際女子マラソンは東京五輪代表の一山麻緒(23)が2時間21分11秒、18年ぶり大会記録(野口みずき2時間21分18秒)を更新し初優勝を果たした。

 今回は新型コロナウイルス禍、異例ずくめの大会となった。感染予防の一環として従来の市街地を巡る形から、長居公園の1周約2・8キロを約15周する平坦コース、ヤンマースタジアム長居競技場ゴール。
 42.195㎞。同じ風景の繰り返しにメンタル面の影響を指摘する声も多かったが、初の男子選手ペースメーカーの川内優輝(33)らが的確に、時に声をかけたりしながら引っ張った。

 スタートから一山と前田穂南(24)の東京五輪代表同士の一騎打ち。予想通りとはいえ、数人の選手の駆け引きがないは寂しく、次の世代選手の食らいつきを望むのは欲張りか?!
 一山が”一人旅”の最終盤では、トラックレースのようにラスト1周を知らせる鐘が鳴り響いた…新鮮で、頑張れ!の声援に聞こえた。沿道で応援してもらうことはできなかったが、その思いは選手に伝わったはずだ。
 そしてゴールのスタジアム入り口で、一山のペースメーカー川内、岩田勇治が静かに離れた。大会前に「完走したとしてもゴールシーンに映り込むような無粋なまねはしない。あくまでも黒子」と話したように…今回の難しいペースメーカーの使命を十分に果たした。もう一つの感動、拍手を送りたい。 
 一山麻緒はインタビューで涙ぐみ「大会を開催してくださった全ての方に感謝でいっぱい。私の力 不足で日本記録(野口2時間19分12秒)を更新できず…」と悔しさも見せた。閉塞感の今、その果敢な走りにこそ感謝したい。

 来年は大阪城、御堂筋を再び駆け抜ける!

■田中お帰り!楽天
 米大リーグ、ヤンキースからフリーエージェント(FA)となり、8年ぶりにプロ野球楽天への復帰が決まった田中将大投手(32)が入団会見(1月30日)。「東日本大震災から10年。自分にとって意味のあるタイミングじゃないかと思い、決断に至った。とてもワクワクしている」と意気込みを語った。

 冒頭、三木谷浩史オーナーは「コロナ禍で苦しい中、楽天に帰ってきてくれるということで、男気、心意気にも感謝している。東北、日本、世界を熱くする投球を見せてくれると思う」と期待を込めた。
 日本球界史上最高となる推定年俸9億円(推定)での2年契約。

 会見では2013年楽天を去ったときに、また戻るという思いはあったかと聞かれ「日本に必ず帰り、キャリアの晩年ではなくいいタイミングでばりばり投げたい思いはあった」。
 「(2年契約だが)1年が終わったらまた話をする機会をもらっている。どうなるかわからないが、米国でやり残したことあると思っている。選択肢は捨て去りたくなかった。腰掛けではなく、本気で日本一を取りに行きたい」。
 さらに東京五輪への意気込みも語った。「2020年では出られない立場にあったなか延期になり、日本球界に戻って出るチャンスがある。心から出たいと思っている。2008年北京五輪では悔しい思いをした。金メダルを取りたい」。
 そして8年前、最後にキャッチボールをしてから渡米した、亡き野村克也元監督に話が及ぶと「野村監督の下でプロのキャリアをスタートした。感慨深いものがあった。監督の教えとして、外角低めに投げる練習は胸に刻み込んで続けたい」。

 言葉を選んで話した記者会見。駒大苫小牧のマーくんの姿はなく、今やメジャーを代表する投手である自信の表れ、風格が漂っていた。
 日米177勝(メジャー78勝、日本99勝)。baseballの世界で堂々たる成績の実力、日本の野球界にも大きなものを伝えてくれるのは間違いない。

止めない スポーツの力
<2021.2.1 S>

*コロナ禍の中、この報道コラム「喜怒哀楽」は変わらず人を出来事を見つめていきます。S