withコロナ 球音帰ってきた

 「カーン」「バシッ」…バッターが打つ音、捕手のミットに収まる音。観客のいない球場に球音が鳴り響いた。制限されていた移動が解除された19日、待望のプロ野球が3カ月遅れで開幕した。

◆球場の”景色”は変わった。スタンドのファンの応援は選手の力にもなる、一体感も素晴らしい。しかし、走攻守の耳から入る音は新鮮だった。神宮球場では、放送席から捕手の構えを指摘する声まで聞こえるという”おまけ”もあったが…プレーそのものな集中できること、そして音のおかげでプロスポーツのパワーや技術、凄さを改めて知った。今まで気がつかない発見もあり十分楽しめた。これはこれでいいもんだ!
 
 無観客に加え、120試合、延長10回まで、ハイタッチなし…新型コロナウィルス対策で多くの制限下だが、テレビの前やネットライブの前には歓声とヤジが帰ってきた。やはりワクワクし、日本を元気づけてくれる。

◆さらに12球団代表者会議は、7月10日から観客を入れることを決めた。ファンにとっては大いに楽しみだ。5千人くらいとの指針はあるが、斉藤惇コミッショナーは「各球場がある自治体や保健所の了解が必要であり、収容人数にはばらつきがあるかもしれない」と、地域差が出るとの見方を示した。さらに球場周辺の混雑、密集にも注意が必要だ。
 
◆プロ野球はスポーツビジネスでもある。球団、選手らの収益や年俸にも厳しく響いてくる。経済問題など含め、NPB(日本野球機構)や球団、今こそ出番である。組織としての価値が問われている、しっかりとしたフォローが必要だ。

 そして第2波など状況によっては、再び無観客や中断・中止も心しておかないと…ファンよ潔く。

◆ 日本高校野球連盟は、史上初の中止になった選抜高校野球の出場32校が、「2020年甲子園高校野球交流試合」として甲子園球場で1試合ずつ行うと発表(10日)。
 夏の甲子園大会が中止になった期間の8月10-12日、15-17日の6日間。ベンチ入りメンバーも18人から20人に拡大し、監督やスコアラー、練習補助員5人ら各チーム計30人。近隣高校は日帰り、それ以外の宿泊は最大2泊、関東から西の出場校は公共交通機関を使わず、地元から貸し切りバスで来場するとした。
 幻となった球児たちの「甲子園の夢」をかなえた形だ…ただ夏の全国高校野球選手権が中止となったのに(早すぎた判断の指摘もあるが)、たとえ多くの制限下でも同じ夏に選抜大会の救済試合を行うことの矛盾は否めない。

 一方で大阪府や奈良県、群馬県などは夏の地方大会の代替として独自の形で試合を行うことを決めた。地方の球場に、選手、家族、学校仲間の”お国なまり”の応援が聞けるなら嬉しい…できれば多くの地方に広がってほしい。今こそ高野連や主催者などの全力支援を求めたい。

 ◆今年の日本の夏は違う。伝統を守りつつ新たな楽しみ方、生活も考えたい…スポーツの持つ力を信じて。

いつもと違う夏 前向いて
<2020.6.23 S>

*4月から「ラジオ産経」。変わらず人を出来事を見つめて、報道コラム「喜怒哀楽」を続けていきます(原則月曜・不定期)。よろしくお願いします。S

「めぐみ 会いたい」

 拉致被害者家族会の初代代表、横田滋さんが5日亡くなった。87歳。
 1977年(昭和52年)に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父で、妻の早紀江さん(84)と全国で講演し被害者奪還を訴え続けた。救出運動の象徴的存在。半生かけた「めぐみに会いたい」…悲しく悔しい。

◆1980年(昭和55年)、産経新聞・阿部雅美記者がスクープした拉致被害者報道。国内ではしばらく取り上げられる事もなく、小泉政権時代、2002年(平成14年)ようやく帰国した蓮池薫さん(62)らは、筆者と同年代だ。

 拉致は紛れもなく国家犯罪だ。
 安倍晋三首相は「早紀江さんとともに、その手でめぐみさんを抱きしめる日が来るように全力を尽くしてきたが、実現できなかったことは断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱいだ」と述べた。
 
 遅い、遅すぎる。拉致問題に力を入れてきた安倍自民党政権でさえ…被害者の奪還、遅々として進まない国家間の現代の壁。突き詰めれば”戦”に行き着くのか。無難でなく結果こそ、政治力とは何なんだ。

◆いま人気の大河ドラマ「麒麟がくる」。主人公明智光秀の三女、乱世に翻弄された細川ガラシャの時世の句(1600年)が、なぜか浮かぶ。
散りぬべき
時知りてこそ
世の中の
花も花なれ
人も人なれ

 めぐみさんの思い、母早紀江さんの思いを、そうさせてはならない。

◆父滋さん、母早紀江さん、娘めぐみさんらが家族を思い祖国を思い続けて42年。魂の訴え、その思いに寄り添えない現実…滋さんは父として無念だろうが、娘を取り戻す事、拉致被害者を救い出す事に尽くし切った見事な生涯だった。
 家族の絆の大切さ、人への感謝を改めて知る。そして諦めず、また前を見る…人にはその力があるはずだ。

信じたい 命の限り
<2020.6.8 S>

*4月から「ラジオ産経」。この報道コラム「喜怒哀楽」は、人を出来事を見つめ続けていきます(原則月曜・不定期)。よろしくお願いします。S

夏の甲子園中止 若人よ!

 政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を全面解除した(5月25日) 。4月7日の7都府県発令から49日間。この日、プロ野球も6月19日の開幕を決めた。

 一方で20日、日本高校野球連盟などは今夏の第102回全国高校野球選手権大会と、代表49校を決める地方大会の中止を発表。今や日本の夏の風物詩、かけがえのない球児たちの夢…だが命と引き換えに叶えることではない。

◆全国大会の中止は、米騒動の1918(大正7)年の第4回大会、戦争の影響のため41(昭和16)年の第27回大会に続き3度目。42~45年は戦争のため中断した。
 
 主催者の高野連・朝日新聞社は、1.代表校の長時間移動や集団宿泊など、感染と拡散のリスクを避けられない 2.感染拡大の影響で49代表がそろわない可能性、練習が十分でない選手の安全・健康 3.夏休み短縮で登校日増の動き、学業の支障になりかねないと説明した。

◆全国にある約4千校の野球部。1度も負けないのは1校しかない。だが残りの全ての高校も1度しか負けない…負ければ終わりの一発勝負。夏は地方大会から闘い、選抜とは違うの思いもある。
 甲子園でも地方大会でも友を家族を母校を応援する方言”丸出し”の歓声。高野連は、地方大会について「代替大会などは、各都道府県連盟に任せる」と発表した。故郷への想いをはせる暑い夏。野球だけでなく高校総体なども、何か代替の舞台を設けてほしい!

◆戦後、教育の一環としていたが、ここずっとそう思えなかった。プロ野球への入り口重視、そこに関わる色々な問題も出ていたからだ。しかし、今年は改めて原点「教育」を思う。
 いわば球拾いから始まり苦しい練習を耐えてやっと最上級生に…その3年生は春の選抜に続き、夏と1年間でついに”表舞台”に立つことはできなかった。高野連など、目標を失くした球児たちの心のケアも大事だ。

◆”ウィルスとの闘い”はまだ続くということを示した。
 3.11(東日本大震災)の夏に見た夏の甲子園。バックネット裏スコアボードの上に「がんばろう!日本」の大段幕…若人よ今!今はこんなに苦しくて涙が止まらないかもしれないが、必ずや将来生きてくる。

胸張って 未来は来る!
<2020.5.25 S>

出口戦略 ”令和維新”か

 新型コロナウィルス禍、「ステイGW」が過ぎた。東京や大阪などの大都市においても、新たな感染者は減少で推移している。緊急事態宣言から1カ月余、解除や出口戦略の言葉が出始めたが、今後も長い闘いを国民個々が見据える時。

◆新型ウィルスという”有事”に、右往左往した日本。それでも自粛要請に自制し動く日本国民。誤解を恐れず言えば、その素晴らしい国民性の上に政治(家)が胡座をかいている状況を露呈した。
 休業補償をセットにするべき特別措置法、緊急事態宣言発出後は自治体に丸投げの様相の国。何百人もいる国会議員は何をやっている⁈ 顔が全く見えてこず、頼りなさをあぶり出した。

◆逆に都道府県知事の存在感が増した。
 大阪府は、事業者に出している休業要請を段階的解除するための独自基準「大阪モデル」スタートさせた(5日)。3指標=1.新規陽性者の経路不明数(10人未満)2.新規PCR検査での陽性率(7%は未満)3.重症患者の病床使用率(60%未満)=を7日間連続で達成すれば段階的解除を判断するというもの。吉村洋文知事は、「自粛要請の入口と出口を示し、行動を起こすための分かりやすい指標」と語った。警戒状況は、太陽の塔で大丈夫=緑、警戒=黄色、注意=赤にライトアップしている。 
 厳しい商売の中、思わずクスっとする大阪の”面目記事”もあった(産経新聞8日朝刊)。「負けへんで」を合言葉にミナミの飲食店など10店のポスターを集めたもの。「負けへんで 絶対ひっくり返したるっ」(千房)や「負けへんで コロナの流行は禁止やで」(串かつだるま)…笑いと元気を一緒に合わせた、なにわ商人の心意気を感じた。

 これら官民の地域先行の動きが、幕末期の日本国と”かぶる”と感じるのは私だけだろうか。政治、企業組織、働き方、教育…新たな形にしろ!との警鐘か天の声か。その好機かもしれない。

◆長い閉塞感から徐々に人出増へ。しかしまだ3密を甘くみると、「再入口」戦略も考えざるを得ない事態もある…正念場は続く。

 職を失ったり収入が激減したりで、暮らしが立ち行かない人が増えている。リーマン・ショックや東日本大震災を上回る…この命も守らなければならない。自治体だけでなくオールジャパンで、国が政治が一刻も早くフォローを!
 人間を社会を自然を見直し、楽しみも見つめて。”見えない闘い”によって、何が大事なのか問われている人類。

今を未来を コロナの先へ
<2020.5.11 S>

*4月からのラジオ産経でも、人を出来事を見つめ報道コラム「喜怒哀楽」を続けていきます(原則月曜・不定期)。よろしくお願いします。
 なお重苦しい中ですが、気をつけて踏ん張って行きましょう!S

当たり前に感謝 正念場の今

 桜花舞い陽が伸びる4月、花残月とも言い日本の心地よい季節…しかし今年は違う。新型コロナウィルス禍で緊急事態宣言が発出されてから3週間、重苦しく不安な時。20万年前に始まった人類(ホモ・サピエンス)と感染症の闘いは今も続き、正念場だ。

◆感染症に対する”弱さ”が露呈した政府、リーダーシップにも欠ける。
 30万円給付から一律10万円に変更や、議員歳費の一部2割削減…その程度の事を声高に発信。少子高齢へ向かう日本、思い切った議員削減へ手を打つべきだ。
 何より文句だけ言う野党も情けない…こんなときに一枚岩になれない国会議員、大丈夫か!

 企業も弱く、腰が定まらない。出社しなくていい社員もまだ多くいるはず…「休め」と明確な指示を出すべきだ!現場の声を受けてからでは遅い。

◆具体的な対応策は自治体が牽引している。外出・往来自粛も各自治体の方が「自県に来ないで下さい」など強い発信。3密(密集・密閉・密接)になってしまったスーパーにも早い指針を示した。
 大阪府は、休業自粛に応じないパチンコ6店の店名公表に踏み切った。それでも「従業員の給料のため営業する」と依然営業を続ける店もある…休業補償も定かでない中分からないではないが、他の商店や中小企業は「命を守るため」に耐えている。
 大阪は府・市が同じ方向を向き足並みを揃えている。早く、そして強く発信。いずれ効果は出る。

◆志村けんさん(70)に続き、岡江久美子さん(63)、経済界でも京都商工会議所名誉会頭・オムロン名誉顧問の立石義雄氏(80)が亡くなった。他に多くの著名人も感染。誰が感染してもおかしくない状況ということだ。

 日本国内の感染者数は、日々出ているが”落ち着いた感”も…ただ緩みはいけない、爆発を招く!感染者による肺炎は一気に重篤化する恐怖、無症状感染者も多い。感染経路不明はなお多く、陽性率は高止まりのままだ。かからない、移さない…今はまず怖がらなければならない時だ。

◆家庭では休校や在宅勤務が増え食費がかさみ、経済も不透明な先行き…悲しいことに、世界的に家庭内DVが増加しているというデータもある。
 一方で会話の時間が増える、何より大事にしてほしい。一緒にいられる家族の絆、ありがたさを再確認する時にしてほしい。日常の当たり前に感謝して。

楽しみ見つけ ST(ステイホーム)
<2020.4.27 S>

緊急事態宣言 負けるな自分

 新型コロナウイルスの感染が都市部で急速拡大している事態を受けて、安倍晋三首相は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県を対象に、特措法に基づく「緊急事態宣言」を発出した(4月7日)。
 今、日本国内の感染者は7000人を超えた。
 
◆安倍首相は、戦後最大の国難と評し「国民の皆さんの行動を変えることだ。人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる。外出自粛をお願いする」と呼びかけた。
 莫大な資産を抱えたまま、テレワーク(在宅勤務)対応ができる大企業はいい。
しかし、ものづくりの町・東大阪など中小企業が支える一面もある関西。国が補償をしっかりやるべきだ、すぐにでも。
 人接触の8割削減…”管理職”はともかく、厳しいのは現場に立ち真に企業を支える人。それでも業種により「時差通勤せよ」「出社するな」と、企業は指示を出す時だろう。
 政治の力も遅く、何とも頼りない。経済停滞で生活補償的に現金給付案とともに、一時お肉券やお魚券まで声が上がった…この期に及んで、情けなく呆れる。

◆フットワークは自治体の方が早い。身近さゆえに現実に即して動かざるを得ないからだ。国を待っていられない!
 東京都に続き大阪府も、府内事業者に休業要請することを決めた(4月14日0時~5月6日)。吉村洋文知事は、対象となる学校や映画館、ネットカフェ、商業施設など幅広い業種を公表した。
 気になるのは居酒屋などの飲食店は営業時間を午前5時から午後8時、酒類提供は午後7時までとしたこと。閉塞感の中”ストレス解消”の面もあろうが、濃厚接触は明らか。休業は死活問題の中小、飲食業…デリバリー(宅配)支援の動きもあるが「補償があれば休みたい」が本音か。休業と補償の並立、政治の力だ。

◆PCR検査の数に限界があり、ワクチン生成にも1年。治療薬も急がないと手遅れの事態も。
 すでに120例の投与が行われ、治療薬として期待される「アビガン」。安倍首相も「備蓄量を現在の3倍、200万人分に拡大する」と明言した。
 島津製作所は、感染の検査時間を約1時間で済ませることができる試薬を発売する。

◆「対応が甘い」と海外から批判を受ける日本。だが、自粛要請だけでここまで変わる国民性は世界に類を見ない。後の成功例になる事を願いたい。一方で詐欺やデマも増えている…許せない。

◆安倍首相は「緊急事態を宣言しても「都市封鎖」(ロックダウン)を行うものではなく、公共交通機関など必要な経済社会サービスは可能なかぎり維持する」。
 日本の現行法では仏など欧州のようなロックダウンはできないが、爆発的感染になれば新法をつくり踏み切らざるを得ない。”封じ込め策”が限界の世界になる…緊急事態宣言は、そうならないための最後の手段とも言える。
 
 命を守るため「密閉」「密集」「密接」の3密回避。長期戦の光はまだ見えない、闘いはこれから。

人類危機 問われる自分
<2020.4.13 S>

*4月から「ラジオ産経」スタート。変わらずに人、出来事の喜怒哀楽を伝えていきたいと思います。よろしくお願いします。S

見えない敵 人類の闘い

 桜は満開間近だが、週末の大阪は道頓堀や御堂筋も閑散としていた。いや東京など日本列島のすべての繁華街は、人が激減した。 
 日々新型コロナウィルス感染者が増加する中、外出・移動自粛要請が発令されたからだ。それでも東京では一日で60人以上の感染者が続いた。 

◆地球上で生命体の”トップ”に立つ人類。脅かす訳ではないが、地球誕生40億年の間に生命体の絶滅危機が数回あった。火山の大爆発、隕石の衝突…そしてウィルス感染症の蔓延。

 中国武漢市に端を発した新型ウィルス感染者は、世界中であっという間に65万人を超え(回復者数は約13万人)、死者は3万人以上に上った(3月29日)。数字上致死率は5%未満だが、感染者は一気に早く重篤になる危険がある。
 ヨーロッパで爆発的感染拡大が起きイタリア、スペインでは深刻だ。特にイタリアでは死者1万人を超えた。アメリカの感染者は、ついに10万人を超え世界最多となった。
 個人主義的な欧米、握手やハグ(抱擁)などスキンシップの生活習慣も影響しているとも言えよう。

◆経済活動も大きな停滞、何兆円の損失と報道される。新日鉄やソニーなどは数万人の社員が原則在宅勤務となっている。しかし中小の企業は存続のため、そうもいくまい。
 成長一辺倒で来た企業論理への警鐘ではないか…一方で働き方改革、ひいては東京一極集中の是正、地方創生の好機ではないか。

 医療体制も急務だ…何のための経済成長、技術進歩なのかも突き付けられている。世界の技術を結集して一刻も早いワクチン開発が求められるが、時間がかかる。流通する薬品での”代用”も急がなくてはならない。

◆日本の感染者数は2500人以上となった。そんななか今日、志村けんさん(70)急死というニュース、列島に衝撃が走った。
 2020年東京五輪は1年程度の延期、”春の風物詩”大相撲は無観客大阪場所になり、国民的スポーツの選抜高校野球中止。プロ野球もいつ開幕できるか分からない。
 
 日本は中国、欧米に比べると”封じ込め”が続いていると言えるが、いつオーバーシュート(爆発的患者急増)してもおかしくない。都市封鎖(ロックダウン)さえも正念場だ。安倍晋三首相は「長期戦を覚悟していかなければならない」と会見で訴えた。政治の信頼、そして国民全体の意識と行動…今耐える。

人類 負けられない
<2020.3.30 S>

日本の心 桜よ

 暖冬列島で桜が咲き急ぐ。開花宣言一番乗りは東京(14日)、観測史上最速となった。
 桜は日本人にとっては特別な花だ。新型コロナウィルス感染拡大で、人が集まる会は自粛の時…残念で寂しい。

◆観光国としての側面を持つ日本、インバウンド(訪日外国人旅行)はシートや茣蓙での花見は少ない。日本人は昔から車座になり飲食歓談、そして神が宿る桜木に豊作を願った。人と人のふれあい、風情を愉しむ…新型コロナウィルス禍で、大阪造幣局の通り抜けは早々と中止、東京・新宿御苑もシートなど敷いての花見は禁止となった。
 ならばせめて、地元の近くの桜を改めて眺めてみるのはどうだろう?名所に劣らない良さを再発見できるかもしれない…フラッと楽しんでほしい。

◆桜の名所1位は東京・目黒川だという。そんなバカな⁈ 確かに目黒川沿いを歩く人の数は日本中で最も多い。しかし名所を”人数で決められたら”合点がいかない。美を眺めて、歴史に思いを寄せ、それぞれの時…桜には日本の心がある。

 個人として敢えて挙げるなら、東日本大震災が起きた東京単身赴任時代に観た六義園のしだれ桜、千鳥ケ淵の夜桜。そしてもう一つは故郷・十四川(三重・四日市)の桜だ。高校生の青春時代、母校の傍を流れる川の堤防桜にそれほど印象や思いもなかった。昨年、四十数年ぶりに観た…郷愁の桜、胸に迫るものがあった。

 ほんの七十数年前。国を家族を愛する人を守るため、靖国神社の桜の下で会おうと散った若い命もあった。

◆パッと咲いてパッと散る。
「しばらくは 花の上なる 月夜かな」(松尾芭蕉)
「見ぬものを 見るより嬉し さくら花」(加賀千代女)
「散る桜 残る桜も 散る桜」(良寛禅師)
 こんな時だからこそ、桜を愛でたい。

潔さ儚さ 日本っていい。
<2020.3.16 S>

”2人の涙” いざ!東京五輪 

【ニッポン柔道 ”武士の情”】
 全日本柔道連盟(全柔連)は講道館で強化委員会を開き、2016年リオデジャネイロ五輪金の大野将平(男子73キロ級)や、2019年東京世界選手権優勝の阿部詩(女子52キロ級)ら男女計12選手を東京五輪代表に選出した(2月27日)。国際大会の実績など踏まえ、出席者の3分の2以上が、後続に大きな差をつけていると判断して決まった。
 個人の全14代表のうち残すは4月、男子65キロ級の丸山城志郎ー阿部一二三の争いのみ。

◆全柔連は早期決定をめざし、3段階の選考方式をとった。第1段階は昨年11月、女子78キロ超級の素根輝が最も早く代表を決めている。今回は第2段階となり、残る13人のうち一気に12人の決定となった。
 最終の第3段階(4月・全日本選抜体重別選手権)より早く決めた事に、開催国のお家芸ゆえの事情も見える。「メダルは当然」の厳しさ、そこに向けて選手の調整時間確保、何より精神的負担の軽減がある。

◆ 代表発表会見で井上康生男子代表監督(41)が涙を見せた。代表1人1人の名前を読み上げた後、目を伏せ「いまはギリギリで落ちた選手の顔しか思い浮かばないです。永山、橋本、海老沼…」耐えきれず涙があふれた。さらに落選した選手の名前を挙げ「よくここまで戦ってくれたと思う。彼らの思いも背負った上で、責任を持って戦わないといけない」。力のある選手たちを早くふるいにかけざるを得なかった…敗者への思い「武士の情」か。

◆お家芸柔道日本の節目、2000年シドニー五輪柔道。初日に軽量60kg級・野村忠宏と48kg級・田村亮子が優勝し幸先いいスタートを切った。井上康生は重量100キロ級にかかわらず、まさに「一閃」オール一本で金メダルを獲得した。パワー全盛、しっかり組み手をとらない欧州のポイント柔道に流れそうな時代…鮮やかな「一本」柔道を引き戻した。

◆ 勝負の世界「選ぶ側や監督は、毅然とした態度で臨むべきだ」と、井上監督の涙に賛否ある。自らも「こんな場所で一番やってはならないこと、申し訳ありません」と詫びた。
 選ばれ並んだ代表の顔…この選手たちが力を最大限に発揮できる環境づくり、そこに全力を尽くせ。

 次は、1964年東京五輪と同じ聖地・武道館で歓喜の涙を流す!…柔道ニッポン、必ずやってくれる。

【クールなランナー 1人の戦い】
 日本記録保持者の大迫傑(28)が、東京マラソンで自らの日本記録2時間5分50秒を更新する2時間5分29秒をマークした(3月1日)。日本人トップの4位に入り、東京五輪代表3枠目の最有力候補に。8日のびわ湖毎日マラソンで記録を破られなければ、代表に内定する。
 ”一発勝負”MGCでは2位・服部勇馬と5秒差の3位、五輪の代表内定を逃した。残りの選考レースで日本記録を破られなければ、このまま五輪切符をつかめる可能性はあったが、待つことはせず東京マラソンに参戦した。

◆井上大仁らがスタートから2時間3分台を狙う果敢なレース。冷静に一度”引いて”一時先頭集団の背中は遠くなったが、そこから自信の走りを見せつけた。レース後のインタビューではMGCに触れ、「3番になった時から1人苦しい戦いだったんですけど…」クールな男が涙ぐんだ。「自分の体と対話しながら走れたと思う」「自分への挑戦ということで、ケニアに行ったりしてチャンレンジ出来たので」と、1人で耐えることを学んだ。幅広いレース展開に対応、自力の強さも見せ、日本マラソン界を引っ張る存在であることを証明した。

 一方で世界レベルのマラソンは2~4分台、優勝したレゲセ(エチオピア)2時間4分15秒に歯が立たなかった。しかし日本人ランナーは今大会5分台1人、6分台2人、7分台5人とレベルアップは間違いない…メダルに最も近い日本人ランナー、大迫が躍り出た。

<2020.3.2 S>

天皇誕生日 還暦のお誓い

 天皇陛下が60歳の誕生日を迎えられた(2月23日)。令和初めての天皇誕生日、皇居・宮殿などで諸儀式に臨まれた。一般参賀は、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大防止のため中止になったが、国民の慶祝の思いは変わらない。

◆先立ち、赤坂御所で記者会見されその決意を示された。
 「日本国及び日本国民統合の象徴としての私の道は始まってまだ間もないですが、たくさんの方々からいただいた祝福の気持ちを糧に、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、研鑽を積み、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、象徴としての責務を果たすべくなお一層努めてまいりたいと思っております」。

◆陛下は60年を振り返る中、世界との出会い触れ合いとして昭和39年(1964年)の東京五輪と昭和45年(1970年)の大阪万博を挙げられた。五輪は、円谷選手のマラソン銅メダルや、上皇ご夫妻と訪れた閉会式で「国を超えて選手団が混じり合い行進する姿」を思い出され、「世界の平和を切に願う気持ちのもとになっている」と明かされた。万博では「世界にはこれほど多くの国があり、一つ一つが様々な特色を持っていることを目の当たりにしました」と振り返られた。

 阪神大震災や東日本大震災などは「忘れることのできない記憶」、さらに「長く被災地に心を寄せたい」と述べられた。また虐待や貧困などの重い問題にも触れ「次世代を担う子どもたちが、健やかに育っていくことを願ってやみません」と。

◆そして「もう還暦ではなく、まだ還暦という思いでおります」と語られたのは、国民にとって何より心強く、勇気づけられる。

寄り添い つなぐ日本
<2020.2.23 S>