凛と 2人の日本女性

 凛とした2人の日本女性が逝った。その生き方をまだまだ見せ続けてほしかった…寂しい限りだ。

◆女優・八千草薫さん88歳。大阪出身。
 幼い頃に父親を亡くし、宝塚歌劇団入り、その後女優となった。
 「宮本武蔵」でお通役、「男はつらいよ 寅次郎夢枕」のマドンナ役や「くじけないで」100歳の詩人柴田トヨ役…ドラマでは不倫の妻を演じた「岸辺のアルバム」、古き不器用な板前の母役「前略おふくろ様」も忘れがたい。ふわ〜とした柔らかな品、清楚な奥に秘めた芯の強さ…重ねてきたその齢その時に、魅力がじわりとあふれた女優。

 19歳の時に19歳年上の谷口千吉監督と結婚。葛藤もあり、芸能界引退を考えた時期もあったという。そして夫婦で本格的な登山をするようになる。八千草さんは、インタビューで人生で一番大事だと思うものは?と聞かれ「難しい質問ねぇ(しばらく考え)…やっぱり愛かしら」。
 我ら還暦世代には、永遠の憧れ。

◆緒方貞子・元国連高等弁務官92歳。東京出身。
 緒方貞子さんに「貞子」と命名したのは曽祖父の犬養毅元首相。首相官邸へ乱入した海軍将校たちに「話せば分かる」とたばこを勧めたという犬養が、「問答無用」と銃撃された時、貞子さんは4歳。記憶はなくても、いつ何が起こるか分からない「世の非命」は、その生涯を導いたのではないだろうか。

 政治に翻弄された難民、子どもたちを救うことに生きた緒方さん。机上より危険な場所にも自ら足を運んだ。過酷な現場でも、時にユーモアやちゃめっ気を忘れない素顔もあったという。かつて、難民について「かわいそうだからしてあげるというものではない。尊敬すべき人間ですから、その人間の尊厳というものを全うするために、あらゆることをして守らなきゃいけないという考え方です」ときっぱり述べている。
 今、ルワンダなど世界各地に命をつないだ「オガタ サダコ」と名付けられた子どもたちがいる。

◆既存のルールにとらわれない信念、それでいて普通の思い…人間の本質を貫いた2人。

お疲れ様 “天命”の人
<2019.11.11  S>

叙勲 35年前”フェアプレー”

 令和元年、秋の叙勲。中山恭子元拉致問題担当相(79)、歌手・水前寺清子さん(74)ら受章者4113人が発表された。うち民間人が1967人で47.8%、女性は411人で10%を占め、最高となった。また別枠の外国人叙勲受章者、66カ国・地域の136人も発表された。
 日本では年に2回、春と秋の叙勲がある。

◆そんな折、今年の春の叙勲・旭日単光章が贈られたエジプト人柔道家、ムハメド・ラシュワンさん(63)に伝達式が行われた。長年にわたり柔道の普及発展に寄与したことを称えた。
 遡る35年前のロサンゼルス五輪(1984年)、柔道男子無差別級決勝。畳の上には、山下泰裕選手(現日本オリンピック委員会=JOC会長)とラシュワン選手が対峙していた。
 当時無敵の世界チャンピオン、山下選手は前の試合で右足を痛めていて、畳に上がる時でさえ右足を引きずっていた。互いに国を背負っての勝負、金メダルと銀メダルでは大きな違いがあることも分かっていたはず。それでもラシュワン選手は、山下選手の右足を故意には攻めなかった。山下選手はかけられた技をすかしてラシュワン選手の態勢を崩し、横四方固めで一本!悲願の金メダルを獲得した。海外メディアからもその戦いに称賛の声があがり、後に国際フェアプレー賞も贈られた。
 筆者は当時新聞の見出しをつくる仕事についていて、社会面で「ラシュワン 心の技あり」とつけた記憶がある。

◆カイロでの伝達式に山下JOC会長(62)は、ビデオメッセージで「あなたは世界の柔道界に大切な人だ」と祝福した。ラシュワンさんは「山下は私のヒーローで親友。日本の人々との交流は生涯続いていくだろう」と穏やかに話した。

◆来年の東京五輪。柔道は男女7階級の個人戦と男女混合団体が行われる。お家芸だ、メダルラッシュは間違いない…そして胸打つ感動も間違いだろう。

道ひと筋 人間ドラマ
<2019.11.4 S>

*この報道コラムも80回を超えました。これからもニュース、人の喜怒哀楽を見つめ続けていきたいと思います(原則毎月曜)。S

即位礼正殿の儀 継ぐ

 さきに、日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより皇位を継承いたしました。ここに「即位礼正殿の儀」を行い、即位を内外に宣明いたします。
 上皇陛下が三十年以上にわたる御在位の間、常に国民の幸せと世界の平和を願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その御心を御自身のお姿でお示しになってきたことに、改めて深く思いを致し、ここに、国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います。
 国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。

◆即位の礼の中心儀式「即位礼正殿の儀」が令和元年10月22日、国事行為として皇居・宮殿で執り行われた。
 儀式は約2千人の参列者が見守る中、宮殿「松の間」で始まり、鉦(しょう)の合図で参列者が起立すると、天皇陛下の側近である侍従らにより玉座「高御座(たかみくら)」と隣の「御帳台(みちょうだい)」の帳が開かれた。
 天皇陛下は古式装束「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に身を包まれ、皇后さまは十二単のお姿。参列者が鼓を合図に敬礼した後、陛下が即位を内外に宣明された(冒頭全文)。
 外国からは191の国・機関の元首や王族、政府高官ら423人、国内からは皇族や三権の長ら1576人の計1999人が参列した。陛下のお言葉の後、安倍晋三首相が祝辞の寿詞を述べ参列者と万歳三唱で祝った。

◆陛下は、上皇さまの平成のお言葉を色濃く反映されたと感じた。
 「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを…」。上皇さまを尊敬され、国民とともに象徴としての決意、そして次代へつないで行く強いお心があふれ出たお言葉だった。

◆「即位礼正殿の儀」が東京(皇居)で催されるようになったのは平成からで、それまでは京都御所(旧皇室典範に明記されている)。京都人は今も、天皇陛下が京都入りする際は「お帰りなさい」。ゆかりの「鞍馬の火祭」が始まり、京都タワーはライトアップで祝った。
 伊勢神宮内宮で「即位礼当日祭」が行われ、東京スカイツリーも”日の丸”のライティングがされた。この日列島は奉祝に包まれた。

◆夜に催された「饗宴の儀」も上皇さまの前回を踏襲された。宮内庁による舞楽「太平楽(たいへいらく)」が披露され、食事は和食で、まつたけやくりなど秋の味覚も取り入れた合わせて9品が出された。また世界各国からさまざまな文化的な背景を持つ賓客が訪れたことに配慮したメニューも用意された。和やかな饗宴は午後11時20分ごろまで続いた。

◆台風19号被害などに配慮し延期となった「祝賀御列の儀」(パレード)は11月10日。その前日に「国民祭典」が開かれ、人気アイドルグループ「嵐」が奉祝曲を歌う。そして14、15日には、天皇一代に一度だけ行われる重要な儀式「大嘗祭(だいじょうさい)。さらに来年4月19日に立皇嗣の礼(りっこうしのれい)が予定され、秋篠宮文仁親王が、自らの立皇嗣=皇位継承順位第1位=を国の内外に宣明する。即位の礼儀式は続く。

令和日本人 奉祝
<2019.10.28 S>

”桜勇者”8強 本物ラグビー

 W杯ラグビー日本大会。史上初の決勝トーナメント・ベスト8に進出した日本brave blossom(桜の勇者)は、南アフリカに3-26で敗れた(20日)。奇しくも10月20日は、今大会に力を注いでいた最中に病に倒れた平尾誠二元日本代表監督の命日。
 4年前のW杯で”今世紀最大の番狂わせ”と言われた勝利の再現はならなかった。しかしまさしく、堂々の敗戦…日本ラグビーが歴史を変えた日となった。

◆戦績で表す世界ランキングとは別に、歴史・伝統・スポーツマンシップなど加味したラグビー界独特のティア(tier=英語・階級・位)。8強のうち超一流「ティア1」が7チーム、いわば2番手「ティア2」は日本だけ。2度の優勝経験を持つ南アフリカに、後半徹底したスクラム・モール、フィジカルで圧倒され力尽きた…しかし総重量差30キロの相手に真正面勝負を挑んだ姿、胸を張れ!
 
 1次リーグ最終戦、日本は28-21でスコットランドを破り4戦全勝。スコットランド戦が本物の力を問われると思った…それでもまだ半信半疑だったが、この準々決勝・南ア戦で「本物」だと確信に変わった。
 その力を裏付けるように、ワールドラグビーのビル・ボーモント会長はプール戦(1次リーグ)総括会見で、日本の「ティア1」入りには触れなかったが、「(今大会後からは)テストマッチで引っ張りだこになるだろう」と予言した。

◆川淵三郎Jリーグ初代チェアマン・元日本サッカー協会キャプテン(会長)は、決勝トーナメント進出が決まった日に粋なツイートを発信した。
 「日本ラグビー、ベストエイト進出誠におめでとうございます。
番狂わせではなくて相手を凌駕するタックル、パスワーク、分厚い守備は世界レベルの実力そのもの…今は亡き宿沢さんが、サッカーより先にベスト8になります、と僕に言った言葉が現実になった。宿沢さん、参りました!」

◆桜のジャージが最後になる最年長38歳のトンプソン・ルークは試合後「ちょっとさびしい。このチームは特別だった。負けたのは残念だが、素晴らしい応援。感動しました」。
 リーチ・マイケル主将は試合後、涙の選手たちに「下を向く必要はない」と語りかけた。爽やかな表情で会見し「このチームのキャプテンができて誇りに思っている。応援を送ってくれたサポーターに感謝したい」。そして淡々と「日本はこれからもっと強くなる!」。
 4年後は「たかが8強か…」の声が聞こえてくるような進化、地力を期待したい。

◆日本中が盛り上がり、元気をくれたW杯。この後の日本ラグビー界も大事だ。プロ化構想も賛成だが簡単ではない、商業ベースにどう乗せられるのか…新たな方法は⁈
 その時には地域に根ざしたチーム作りで、政治が頼りない「地方創生」にぜひ一役買ってほしい!

日本ONE TEAM
<2019.10.21 S>

ノーベル賞 ”会社員”吉野氏

 スウェーデン王立科学アカデミーが2019年のノーベル化学賞を、リチウムイオン電池開発の旭化成名誉フェローで名城大教授の吉野彰氏(71)ら3氏に授与すると発表した(9日)。携帯型の電子機器を急速に普及させ、人類のIT(情報技術)社会・モバイル(可動性)社会発展に大きく貢献した。
 共同受賞者は米テキサス大教授のジョン・グッドイナフ氏(97)、米ニューヨーク州立大ビンガムトン校特別教授のスタンリー・ウィッティンガム氏(77)。
日本のノーベル賞受賞は2年連続で、計27人となった。

 ◆1983(昭和58)年、吉野氏はリチウムイオン電池の原型を開発した。ビデオカメラなど持ち運べる電子機器が普及し、高性能の電池が求められていた時代、研究を生活に結びつける実学だ。
 繰り返し充電できる性能を飛躍的に高めたリチウムイオン電池の登場で、その後携帯電話やノートパソコンが一気に普及、スマートフォンなど小型・高機能の電子機器を”生み出した”と言える。
 近年は人工衛星や電気自動車などにも使われ、再生可能エネルギーを有効利用する手段としても期待されている。

◆吉野氏は名誉フェローとして旭化成に在籍、いわば会社員・企業人ノーベル賞受賞者。サラリーマンで思い出すのは、田中耕一・島津製作所シニアフェローだ。2002年にソフトレーザーによる質量分析技術の開発で学士唯一のノーベル化学賞受賞者となった。
 この「フェロー」とは企業、大学、研究所、シンクタンクなどにおいて、特定の分野で極めて高い能力を持った人材に特別な待遇を与える人事制度。
 最近のノーベル賞選考は、身近な生活に直結した研究成果が重視される傾向でいいことだ。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥・京都大学研究所所長・教授のips細胞(人工多能性幹細胞)も然りだ。

◆北野高校、京都大学卒で阪神タイガースファンの吉野氏。自身が理事長を務めるリチウムイオン電池材料評価研究センター(大阪・池田)での記者会見にも、関西人の粋があった。
 故郷・大阪への思いを問われ「大阪人には『なんとかなるわいな』という『柔』の姿勢がある」。研究については、執念を持って挑む「剛」と時には楽観的に向き合う「柔」のバランスが大切…「私にも、そうした大阪人としての気質が表れているのでは」と笑顔。

◆受賞一夜明けの「夫妻会見」がまた素晴らしい。ノーベル賞受賞者の「夫妻会見」はいつも、最高峰の研究者の見えない人間性をあぶり出し夫婦の深みが出る。と同時に、見る者をホッとさせてくれる。
吉野氏が久美子夫人(71)とのなれ初めを聞かれ、京都大学時代の考古学サークルの交流会で出会い「追っかけというのか、私の方がのぼせ上がって」と、一目ぼれだったと明かした。
 久美子夫人は「私はサラリーマンと一緒になったつもりでしたから…こんなことならもっと何もかもしっかり、サポートすれば…」。「(吉野氏の枕に)多くの髪の毛が付着していた。あの時期は苦しく、ストレスだったのかなぁ…」。吉野氏は照れたように「やるべきことを、ちゃんとやりました」。
 2人は飾ることなく自分の言葉で話した。今回のご夫妻の会見には、ひときわ自然体を感じた。
 そして吉野氏は、若い次世代へ「挑戦心を伝えたい。失敗してもええからやろうや」。

道究めて 人類に貢献
<2019.10.16 S>

島国の自然猛威 河川氾濫

 最大級の台風19号は、関東、東北、中部地方を舐めるように襲い、またも甚大な被害を出した。死者60人を超え行方不明者も多い…正確な数はなお分からない。東日本の自治体では警察や消防、自衛隊などが行方不明者の捜索などを続けた。

◆「命の危険・命を守る行動を!」を示す特別警報が1都6県に発令。気象庁が”しつこい”警鐘、JRは48時間前に異例の計画運休可能性を発表し、最小限に被害を抑えたと言える。
 しかし想定を超える事態も起こった。多摩川や千曲川、阿武隈川など47河川が氾濫したことだ。60カ所以上で決壊した。こうも川は弱かったか?…上空からのヘリ映像を見ると、どこからが川でどこが町なのか区別がつかず愕然とする。今なお多くの住民が孤立している。ライフライン、そして地中に溜まった水が再び溢れ出したり、遅れてやってくる土砂災害も心配だ。
 もはや「想定外」の言葉は通じず、自治体などは「想定外」を想定する準備・減災システムを構築する必要がある。一刻も早く点検、対処しなくてはいけない。

◆SNS(会員制交流サイト)で、「孤立している」「外部からの支援が届かない」などの呼びかけも多く発信された。このSNSを活用することも現代の一つの防衛策だ。同時に、災害時の”虚報”は厳に慎まなければならない。

◆国土の狭い島国日本。正確な情報を見据え、まずは準備と自衛を心がける。さらに自らの命は自ら守る意識を、より強く持たざるを得ない。
 そして国や自治体は激甚災害指定し、全力で物心両面の継続的支援を急げ!

想定外 問われる国力
<2019.10.15 S>

不滅の400勝投手 金田逝く

 プロ野球の国鉄、巨人で通算400勝を挙げた左腕投手・金田正一氏が死去した(6日)。86歳。巨人が発表、通夜・告別式は近親者のみで行われ(喪主は俳優の長男・賢一さん)、後日お別れの会を行うという。

◆金田氏はその名前の通り「正」に日本「一」、史上最高の投手と言える。
愛知県出身、1950年に国鉄(現ヤクルト)入りした。享栄商高中退のため、8月入団ながら速球と縦に落ちるカーブだけで8勝、51年から14年連続で20勝以上をマークした。対巨人、対長嶋茂雄に闘志を燃やし、立教大卒の黄金ルーキー・長嶋のデビュー戦で4打席連続三振を奪った(58年4月5日)のは、昭和の名勝負の一つだろう。
 巨人移籍5年目、通算400勝を達成した69年に現役引退した。これこそ前人未到と言える400勝、4490奪三振と298敗は史上最多で、沢村賞にも3度輝いた。背番号34は巨人の永久欠番になっている。

◆20勝投手さえ久しく出ない現代プロ野球界。直近の20勝投手は、2013年の楽天・田中将大(現大リーグ・ヤンキース)。24勝無敗という驚異的な成績は、記憶に新しい。
 セ・リーグには長く20勝投手が誕生していない。最後に20勝投手となったのは2003年、阪神・井川慶(現独立リーグ・兵庫ブルーサンダーズ)で20勝5敗だ。
 その20勝を20年続けないと400勝は達成できない…いかに凄いかが分かる。おそらく今後も破られることはない記録だろう。

◆打者としても類まれなものがあった。投手として登板しての36本塁打は史上1位、代打で2本の本塁打も記録、通算本塁打は38本。入団した1950年のプロ入り初本塁打は17歳2ヶ月、野手を含めて未だにプロ野球最年少記録だ。驚くことに、投手でありながら8度も敬遠されている。

◆金田氏は引退後1973〜78年、90・91年にロッテ監督で指揮、74年にはリーグ優勝と日本一に導いた。88年に野球殿堂入り。78年に名球会を設立し、2009年まで初代会長、代表幹事を務めた。
 74年の日本一には思い出がある。日本シリーズ・ロッテ対中日、当時はデイゲームだった。筆者は三重県の高校2年だったので、当然中日ファン。授業前、教室後ろの黒板に日本シリーズのスコアボードが書かれていた。最後列の同級生が学生服の内ポケットにしのばせた携帯ラジオ、イヤホンはそで口から耳にさし、得点を書き入れていく。1クラス45人の時代、皆がちらちらと後ろを見る。先生も見て見ぬふりをしてくれた…いい時代。

 その1974年、巨人のV10を阻んだ中日。優勝を決めた中日球場のマウンドに立っていたのは星野仙一。そしてその日の神宮球場では、ミスタージャイアンツ・長嶋茂雄がユニホームを脱いだ。翌日のスポーツ紙1面トップは20年ぶり中日Vを完全に押さえて、ミスタージャイアンツ・長嶋引退だった。

◆打撃の神様と呼ばれ、巨人V9監督の川上哲治氏は「最も速い球を投げる日本人投手は?」と問われ、「実際に見た中で言うなら、金田だと思いますね。若い頃はもう、本当に速かった」と答えている。
 日本最多安打3085の記録を持つ張本勲氏は「.あんなに速い球は見たことなかった。私の中では世界一の大投手。いつかあの世で対戦して、あの真っすぐを打ちたい」。

カネやん 野球人生全う
<2019.10.7 S>

消費税10% 痛みは公平か

 あす10月1日から消費税が8%から10%に上がる。少子高齢の日本、社会保障など将来を見つめた施策。年4兆6千億円の税収増が見込まれ、うち2兆8千億円は幼児教育・保育の無償化など社会保障に充て、残り1兆8千億円は財政再建に回すという。とは言え、国民からは依然「まず削るべき所があるだろう」「金のある所優先で取れ」「どう使うのか詳しく説明を」の声も根強い…もう延長できない国・政権。

◆政府は国民の不満もにらみ、10%とは別に軽減税率品目を決め8%に据え置く。
 高所得者にも低所得者にも公平を期し生活必需品(酒類を除く飲食料品、及び新聞等)は8%と言うが…。また店内で食べれば(イートイン)10%、持ち帰れば(テイクアウト)8%、分かりにくい。
 また、キャッシュレスに対応する「ポイント還元」の中小対象店は約50万店、全国約200万店の4分の1にとどまる。店は対応する機器が新しく必要になり、高齢の消費者は戸惑う。

◆外食産業の牛丼すき家やケンタッキー・フライドチキン、マクドナルドなどは、店内食も持ち帰りも統一価格にする。消費者に分かりやすくするために実質値下げし8%のまま…やるじゃないか外食。ただ消費税率アップのたびに言われる、”下請け叩き”が気がかりだ。

◆不透明な先行きに企業も「守り」の姿勢だ。分からなくないが、例えばトヨタの場合は留保資産600兆円とも言われる。これら莫大な日本企業留保金を、日本市場に個人消費に”引っ張り出す”政策はないものか?

◆消費税導入は最初 は1989年4月年3%(竹下登内閣)→1997年4月5%(橋本龍太郎内閣)→2014年4月8%(安倍晋三内閣)。そして2度の延期を経て、今回の10%施行となる。
 竹下、橋本両内閣は、現実的に消費税が政権崩壊につながった歴史がある。海外情勢や国内景気…一気に”引き金”になる可能性もある。

◆誤解を恐れず言えば、やはり生活必需品であれば所得に応じて、税率の高低があって然るべき、それが公平だ…日々の消費の場でどう収入を証明するか、プライバシーなど悩ましい課題もあるが。
 史上最大の課題、少子高齢に直面している日本。税だけでなく、企業重視でなく、国民目線での政策実行こそが唯一の政治の道と肝に命じてほしい。で、なければ”大人しい国民”も行動に移しますぞ⁈

増税しかないのか 政治よ!
<2019.9.30 S>

*”報道コラム”70回を超えました。ニュースにまつわる人の喜怒哀楽を見つめ、綴って行きたいと思います(毎月曜)…引き続きよろしくお願い致します。S

「桜」の悲願 8強見えた

 世界3大スポーツのオリンピック、W杯サッカーと並ぶW杯ラグビー、日本大会が開幕した(20日)。
 世界20チームが11月2日決勝まで、札幌から熊本の12競技場で全48試合の火ぶたが切られた。早くも世界最高峰の肉弾戦、スピード、迫力に興奮を隠せない。

◆桜のジャージ日本(世界ランク10位)の開幕戦。ミスからロシア(同20位)に先制トライを許したが、30-10の逆転で快勝。松島幸太朗が3トライ、ボーナスポイント(4トライ以上)も得て勝ち点5を獲得した。
 2015年前回イギリス大会予選リーグ、史上最大の番狂わせと言われた南アフリカを破り3勝1敗とした日本だが、ボーナスポイントの数で決勝トーナメントに進出できなかった。このボーナスポイント、わずか1だが非常に大きい。何より進化した日本に、自信というポイントが加わった。

◆開幕戦勝利から一夜明けた会見で、リーチ・マイケル主将(30)は独特の雰囲気を振り返り、「満員のスタジアムでとても感動した。日本のラグビーの盛り上がりを感じる。これからいい大会になると思う」。
 SO田村優(30)は「緊張して死ぬかと思った。勝ち点5は欲しかった結果でホッとしている。緊張から解き放たれ次は大丈夫、楽しめる」と、穏やかな表情で力強く語った。

◆イングランドスポーツのラグビーは、格闘技の要素も備えた紳士の球技と呼ばれる。
 ニュージーランド(NZ=オールブラックス)のハカに代表され、トンガ、サモア、フィジーのウォークライ(War Cry=戦闘の雄叫び)や、潔いノーサイド(試合が終われば敵味方はない)も感動を呼ぶ。

 そしてW杯ラグビーの賞金は、1987年第1回大会から「0」(各国の協会やスポンサーなどから報償金的なものはある)…賞金数十億円にのぼるW杯サッカーに比べ、優勝トロフィー(ウェブ・エリス・カップ)を手にする名誉のためにだけ闘う。

 ニュージーランド(同2位)、フランス(8位)など強豪国も初戦勝利した。日本戦だけでなく世界最高峰の伝統チームの迫力ある試合、そしてラグビー文化も楽しみたい。日本ラグビー、さらには観る側の意識アップにもつながるはずだ。

◆日本の残る予選リーグは28日にアイルランド(世界ランク1位)、10月5日にサモア(同16位)、13日にスコットランド(同7位)戦。厳しい闘いは必至だ。
 最も番狂わせが少ない球技と言われるラグビー。しかし試合運びにも幅が出てきた日本は、精神面だけでなくフィジカル面でもヒケはとらない!耐えて耐えて一瞬のスピードでスコットランド、アイルランド撃破も夢ではない。日本の桜が世界の舞台で咲く姿が見たい。

◆戦前、リーチ主将は手応えをこうも語っている。
 「毎試合、ベストパフォーマンスを出していく中で勝つ。W杯でもベスト8まで行こうではなく、ベスト8でも勝つ、ベスト4でも勝つ」。

世界の壁 超えろ!
<2019.9.23 S>

令和の内閣 結果を示せ!

令和元年9月11日、第4次安倍再改造内閣が発足した。
麻生太郎副総理・財務・金融相(78)、菅義偉官房長官・拉致問題相(70)は早々と留任決定。安倍首相(64)にとって”同士兼閣僚お目付役”。最多13人の初入閣で刷新をアピールした。
「安定と挑戦」を掲げた19閣僚と4自民党執行部。憲法、社会保障、外交…日本が問われる令和の船出。

◆「挑戦」の目玉として、男性戦後最年少38歳で初入閣した小泉進次郎環境相。原発エネルギー、地球温暖化など世界の重要課題や官僚をどう相手にするか力量が問われる。来年の育児休暇を取り、新時代アピールだけでは…閣僚の失敗は、政治生命だけでなく国民生活をも左右する。就任囲みの”完璧な”会見。今後は言葉、清新、若さで許されることではないと覚悟をもって当たってもらいたい。
“堅物”に見られがち?河野太郎防衛相(56)は、外務相から同じ重要ポストへ横滑り。最悪と言われる日韓問題に、ブレずに筋を通し対処した手腕が評価された。
茂木敏充外務相(63)。日米貿易交渉を牽引し道筋をつけた。対韓国で見えない”交渉シグナル”になるやも⁈
女性活躍社会を謳いつつ片山さつき地方創生担当相(60)1人だった女性閣僚は、前内閣から1人増えた。高市早苗総務相(58)と橋本聖子五輪・女性活躍相(54)、まずは及第点か。

◆自民党執行部人事では二階俊博幹事長(80)、岸田文雄政調会長(62)が留任。良いか悪いかは歴史が決めるが、麻生副総理と菅官房長官とともに「安定」=反主流派の押さえ役も担うということだろう。
根底には「ポスト安倍」を競わせつつ、悲願の「憲法改正」への道が見える。

◆約2年後に安倍首相は自民党総裁任期を迎える。「ポスト安倍」は見えないが、かと言って4選も民主国家としていかがなものか。安倍政権の集大成、日本の政治のターニングポイント、新しい時代になるのか。
これが最後の安倍内閣とは思えないが…常に10年50年100年先の国づくり、誤らない舵取りを望む。

安定と挑戦 命がけで!
<2019.9.16 S>