今日のあっちこっち行ってみ~は西宮市立大谷記念美術館で開催中の
「昔なつかし・昭和レトロ キャラクターデザインの先駆者
グラフィックデザイナー土方重巳の世界 」をご紹介しました。
今回の展覧会ではこれまで紹介されることのなかった土方重巳さんの魅力溢れる多彩な仕事を、
貴重な原画、ポスター、映像などで辿っています。
昭和レトロなポスターはとてもおしゃれなんですよ。
土方重巳(ひじかたしげみ)さんは1915(大正4)に生まれました。
多摩帝国美術学校(現・多摩美術大学)を卒業して、東宝に入社します。
当時のポスターにはなつかしい名前がたくさん登場しています。
高峰秀子や宇野重吉、原節子、エノケン、木暮美知代、池部良・・・
もちろん当時はすべてが手書き。
文字も、フォントというものもなかったので、
土方さん自身が作品に合わせてデザインしていました。
また、映画も1週間に1本という早さで公開されていたので、
手書きの方が作業が早かったそうです。
戦前の東宝映画を代表する『馬』をはじめ、原節子や榎本健一(=エノケン)が
出演した映画、戦時下に製作された『決戦の大空へ』など多くの芸術的なポスターを多く手がけました。
時には劇映画とともに上映が決められていた文化映画のポスターも手がけています。
戦時なのでポスターの色数も限られ、サイズも小さくなっています。
でも、土方さんは制限のある中でポスターを描くことに魅力を感じていたそうです。
戦後、東宝を退社した土方さんはフリーのデザイナーとして『大いなる幻影』や『北ホテル』、『石の花』、『靴みがき』など映画史に残る名作のポスターを描きました。
また、藤田嗣治が舞台装置を手掛けたことで有名な東京バレエ団の『白鳥の湖』、
藤原歌劇団によるオペラ、劇団民芸による芝居、人形劇団プークの公演ポスターや
チラシなどのグラフィックデザインも手掛けました。
グラフィックデザイナーとして活躍する一方で、飯沢匡(いいざわただす)さんとの出会いによって絵本やテレビ番組など、子どもに向けた仕事も精力的に行いました。
例えば、1959(昭和34)年、NHKでスタートした「おかあさんといっしょ」の中の人形劇
「ブーフーウー」のキャラクターは土方重巳さんがデザインを担当したんです!
ブーは大山のぶ代さん、フーは三輪勝恵さん、ウーは黒柳徹子さんが声を担当して
大ヒット!
その後もたくさんの名作やヒットキャラクターを生み出し
キャラクターグッズもたくさん作られたそうですから、そういう意味ではグッズの先駆けですね。
1953(昭和28)年に出版された『ねずみとおうさま』も、土方さんが描いた人気の絵本です。
この頃の子供向け絵本などのキャラクターや挿絵などをみていると、
「無垢な絵」だなぁと感じます。子供達が最初に触れるものはこういうモノであるべきなんじゃないかと思います。
企業のためのデザイン作品もたくさん手掛けました。
あの佐藤製薬のキャラクター「サトちゃん」の生みの親なんですね!
時代によって全く違う作風を見せる土方さんの作品。
求められるモノを描く中でも、自分なりのこだわりと楽しみを見つけてらしたのかもしれませんよね。
ご本人が大好きだったお仕事をされた東宝を退社しなくては行かなくなって、悔しい思いもきっとあったと思うのですが、「ごちゃごちゃしたことに翻弄されない「子供の世界」に没頭されたのかもしれないですね」とは、学芸員さんのお話でした。
幅広い作風のかげでは一線で仕事をしつつも大変な努力があったのではないでしょうか。
なつかしさの中にあるおしゃれなグラフィックデザインの魅力をぜひ味わってくださいね。
会期 12月9日(日)まで
休館日 水曜日
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
アクセス 阪神電車 (大阪方面から)「西宮」で普通電車に乗り換え、
次の駅「香櫨園」下車。南西へ徒歩8分。
(神戸方面から)「御影」または「芦屋」まで特急に乗車、
普通電車に乗り換え「香櫨園」下車。
南西へ徒歩8分。
JR JR神戸線「さくら夙川」下車。国道2号線を西へ向かい、
夙川沿いを南に下り、南西へ徒歩20分。
阪急電車 阪急神戸線 特急に乗車、「夙川」下車。
夙川沿いを南に下り、南西へ徒歩25分。
入館料 一般800(600)円、高大生600(400)円、小中生400(200)円
詳しくは西宮市立大谷記念館のHPでご確認ください。
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♪今日のオンエア楽曲♪
1. 蝋人形の館 / 聖飢魔Ⅱ
2. half of me / 平井 堅
3. 咲き誇れ愛しさよ / Wink
4. Night Fever / Bee Gees
5. マスカレード / 安全地帯
6. 冷たい夜 / 河口 恭吾